やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2023-01-01から1年間の記事一覧

パラオ、アデルバイ大使の怪文書(6)

アデルバイ大使が偽情報を鵜呑みにして、私を誹謗中傷した文書を笹川平和財団に発信するという異常な状況に苦しんでいる。 そしてこれは書いておこうと思うことがある。 2017年9月にJennifer Ansonに呼ばれてパラオ行った時、2日に渡り5時間も話をしたの…

パラオ、アデルバイ大使の怪文書(5)

Jigensha interviewed to the Sasakawa Peace Foundation and me about the Palauan Ambassador Adelbai's suspicious letter regarding the Solomon Islands, Malaita Province, and the invitation of Honorable Suidani, and reported. Both the intervie…

マライタを知らずしてソロモン諸島を語るなかれ

延べ5000人前後が豪州クイーンズランドの砂糖キビ畑に契約労働移民として送られた。人種差別が激しい豪州人の扱いは酷いものであった。 旧友のアコラウ・トランスフォーム博士になんで私はこんなことをしているのか説明しようと思い悩んだ。 始まりは2019年…

実効支配を勘違いしたメディアが竹島を韓国に差し出す

「竹島はねえ、韓国に実効支配されているから難しいのよ。」 著名なジャーナリストから聞かされた時、そうなのかと思うと同時に、違法に獲得した島を実効支配すればその国の領土になるとしたら、ほとんど管理も開発もされていない、太平洋島嶼国の島々は中国…

楽園の島の汚職・不正

楽園の島は越境犯罪の楽園でもあることは、このブログで繰り返し書いてきた。その越境犯罪を促しているのが島嶼国自身であると書いたら、みなさんは驚くでしょうか? 賄賂、袖の下を要求され、まともな企業は入れない、だから賄賂文化が当たり前の中国企業が…

中国の賄賂を断ると政権を追われる?ソロモン諸島マライタ州スイダニ前知事来日を控え

近々日本にお迎えする、ソロモン諸島、マライタ州ダニエル・スイダニ前州知事 日本人の関心はガダルカナルの戦いで止まり、2019年の中国への外交関係変更は一瞬話題にだっただけだ。その間、中国は着々と布石している。 日本で彼の動きを追っているのは、こ…

1977年国父Peter Kenilorea閣下は福田総理に会っていた!

Caption incorrect, Sir Kenilorea met Prime Minister Fukuda. 日本とソロモン諸島の歴史を調べている中で、ソロモン諸島独立前年1977年に、初代首相となったPeter Kenilorea閣下が来日し、福田総理に会っているというウェブを見つけた。 しかし情報が一つ…

戦前ソロモン諸島にいた20人の日本人

英米豪もやってこなかったソロモン諸島への継続的な支援を日本だけがしていた背景を探っています。 ミクロネシアは日本統治領で、島の人口より多い日本人(主に沖縄人)が植民したが、その他独領、その後豪州の委任統治領となったパプアニューギニアには、小…

ソロモン諸島、スイダニ氏の置かれた立場

この秋、インド太平洋研究会がお迎えするソロモン諸島、マライタ州ダニエル・スイダニ前知事が、親中のソガヴァレ政権でどのような立場に追い詰められているのかいくつか記事を紹介しておきたい。 最初は極秘情報漏洩という刺激的なタイトルの記事である。 T…

Why Free Association is so different between the US and NZ 米NZの自由連合の違い

五十嵐正博教授の博士論文でもあるこの研究は貴重 Currently, there are five countries that have the political status of a free association in line with the 1960 UN resolution Declaration Granting Colonial Independence: the Cook Islands, Niue,…

ソロモン諸島マライタ州ダニエル・スイダニ前知事来日!

ダニエル・スイダニ前マライタ州知事 インド太平洋研究会はこの秋、ソロモン諸島マライタ州ダニエル・スイダニ前知事を日本にお迎えすることになりました。 2019年にソロモン諸島が突然独立以来関係を維持してきた台湾から中国に外交関係を変更。日本国内は…

National Security and Self-Determination: United States Policy in Micronesia (1961-1972)

It seems wrong for me, as a Japanese, to describe the Free Association Agreement with the Micronesian region involving the Americans. However. I have dared to write about it because some of my American friends have welcomed the information.…

What is the Free of Free Association? 自由連合の自由とは?

Whipps大統領 Nakamura大統領 Hinck博士は90年代パラオの独立を支援した法律家 Needless to say, the Free Association Agreement that the US conclude with the three Micronesian States reflects the Declaration on the Granting of Independence to Co…

US contribution to Mandate system / 委任統治制度・米国の貢献

Task force formed to curb China’s growing influence in the Pacific region After the end of the Cold War, the US was gone like a tide from the Pacific. I have seen that 1990s right before my eyes. And I have assisted in taking over the proj…

RETHINKING BURKE AND INDIA Daniel I. O'Neill

バークとヘイスティング RETHINKING BURKE AND INDIA Daniel I. O'Neill History of Political Thought Vol. 30, No. 3 (Autumn 2009), pp. 492-523 (32 pages) 米国がミクロネシア三カ国と締結する自由連合協定。その前は信託統治。その前は委任統治という…

五十嵐元道著「国際信託統治の歴史的起源 帝国から国際組織へ」再読

米国Elihu Root国務長官 Sir Robert Holland 太平洋島嶼国の独立、自決権の歴史を遡る時、信託統治ー委任統治が国際法の新たな構成を成した話は重要だ。Pitman B. Potterの国際連盟下の委任統治制度の起源 Origin of teh system of Mandates under teh Leagu…

ブリンケン長官を震え上がらせたウィップス大統領

自民党青年局がパラオを訪ねるに当たって一番重要な件は、米国が戦争でこの地域を日本から奪った後、信託統治から自由連合へと関係を維持する中で大きな曲がり角にあることだ。 信託、Trusteeship, の議論はここではしないが、国連憲章で米国はミクロネシア…

自民党青年局のパラオ訪問が観光旅行にならないように(3)

昨日のブログアクセスがいつもより100倍ほど多く、自民党青年局へのお節介提案が役に立てれば幸いです。 山ほど提案はありますが最後の提案として「墓掃除」。間違っても「慰霊」「墓参り」ではありません。鬼木元防衛副大臣の間違いをしてはアカンのです。 …

自民党青年局のパラオ訪問が観光旅行にならないように(2)

放置されている日本人墓地とアンガウル州旗自民党青年局がパラオを訪ねたら白い砂浜でバーベキューなどしてはいけない。そんな事は早く直行便を就航させて、プライベートで、家族と一緒に行ってやることだ。 さて、自民党青年局のパラオ訪問が観光旅行になら…

自民党青年局のパラオ訪問が観光旅行にならないように(1)

自民党女性局のパリ訪問が日本国民から槍玉に上げられている。パリ、というだけで羨ましがられるのだから、シャンゼリゼはなしか、会議が終わった後にすべきだった。 今月台湾経由でパラオに飛ぶ自民党青年局は浜辺で写真など撮っていけない。そんな時間を作…

五十嵐正博著『提携国家の研究ー国連による非植民地化の一つの試み』再読

At last, at last! I started re-reading the material I have read over the past seven years in order to write out my Doctoral thesis. If I had not come across Dr Antonio Cassese's book on the right to self-determination, I would never have t…

Scottish legacy: Education in Indo-Pacific

世界初の義務教育制度を法制化したスコットランド王、ジェームズ4世 James IV, 1473年3月17日 - 1513年9月9日 The topmost legacy of the British left in the Indo-Pacific is Scottish education, I think. A paper on education in Otago, which I presen…

参考文献 信託統治領

British Foreign Policy in the Second World War by Llewellyn Woodward p. 440 2 On December 9, 1942, the War Cabinet had accepted (subject to the agreement of the Dominion Governments) a draft declaration on future colonial policy. They cons…

ERNST B. HAASの信託統治論(和訳機械訳)

政治学者 エルネスト・ハース 1938年、ナチス・ドイツの迫害から逃れアメリカ合衆国に移住。1952年、コロンビア大学より博士号取得。国際統合論における新機能主義の提唱者として有名。後年、研究の関心は、ナショナリズム研究へ広がる。(ウィキより) THE …

ERNST B. HAASの信託統治論

現在米国で活発に議論されている自由連合協定を理解するには戦後、国連憲章の11、12、13章にある信託統治制度を理解する事が必要である。そして連盟の委任統治制度も、なのだが。。 信託統治に関する良質な議論を国際法学者のHans Kelsenが150頁にも渡り国連…

The Law Of The United Nations (1951) by Kelsen Hans "Trusteeship"

Kelsen's The Law Of The United Nations (1951), which has 1000 pages. The section on trusteeship is 150 pages long. Chapters 11, 12 and 13 of the UN Charter are exactly about the trusteeship system for the Micronesian region, but I have nev…

日本はルビコンを渡ったのか?

私が2008年に立ち上げ、現在までも関与しているミクロネシア海洋安全保障事業の経緯を辿る上で、その哲学とした「樋口レポート」を読み返した。そしてこの「樋口レポート」に関する研究も探してみたが、この文書を書かれた渡辺昭夫先生ご自身の論文が出てき…

委任統治の起源 非併合の植民制度

Origin of the System of Mandates under the League of Nations by Potter, Pitman B. 非併合の植民の起源は米国だった。。。あとでメモ書く。 https://tile.loc.gov/storage-services/service/ll/lltreaties/lltreaties-ustbv001/lltreaties-ustbv001.pdf

ミクロネシア海洋安全保障事業から安倍総理のFOIPへ/From the Micronesian MARSEC Project to the Abe's FOIP

ミクロネシア海洋安全保障事業から安倍総理のFOIPへ 2008年、私が一人で立ち上げたミクロネシア海洋安全保障事業。RAND研究所やフランスのifriが取り上げてくれるのは嬉しいがこの事業を知らない日本人から嘘の情報を聞かされている。日本財団は造船利権しか…

乃木坂46ファンと古屋圭司衆議院議員へ

乃木坂46ガールズがパラオに行ったらしく、また例の日本語がパラオの公用語とか国旗は日の丸のコピーという嘘がSNS で撒かれています。 嘘です。 日本語が公用語になっているのはアンガウル州の1州だけです。パラオには16の州があります。アンガウルの人…