やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2015-01-01から1年間の記事一覧

パラオークリスマスの海難救助

パラオ共和国で小型艇が活躍し、3人の漁師の命がこのクリスマスの日に救われたニュースです。 Christmas Day rescue for missing Aimeliik fishermen WRITTEN BY JOSE RODRIGUEZ T. SENASE TUESDAY, 29 DECEMBER 2015 Island Times http://islandtimes.us/i…

ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き(4)

ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き。 4回目はマリアナバラエティの記事の紹介です。 "Yap state: Plebiscite necessary before Compact can be abolished" 10 Dec 2015 By Robert Q. Tupaz http://www.mvariety.com/regional-news/82199-yap-state-plebi…

再び、パラオ テキサス

テキサス州リック•ペリー前知事、ジョン•ブラッドリーパラオ司法長官 <再び、パラオ テキサス> 以前、パラオとテキサスの関係を自分の勘の範囲でブログに書いたが、来年の大統領選を控えたパラオで、その関係はくっきりと浮かび上がって来た。 ここ数ヶ月…

ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き(3)

米国との自由連合協定破棄決議案を提出した一人、チュック州出身のSenator Robson Romolowと、同じチュック州出身で、米国居住のブロガーVidalino “Vid” Raatior氏のやり取りが興味深い。 "Congressman Romolow responds to Compact termination Resolution …

海洋国家日本を阻む外務省国際法局

このブログで何度かお伝えした日本の水産庁取締船のパラオ派遣。 頓挫、しているという。 これも以前からこのブログでお伝えし、海洋政策学会でも発表させていただいた内容だが、太平洋島嶼国は自分たちでは管理できないほど大きなEEZを抱えている。 よって…

ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き (2)

ミクロネシア連邦自由連合破棄決議案の動き。 反対する声は主に米国在住のミクロネシアの人々から強く出ている。 自由連合協定の破棄は、米国に生活の拠点を築いた彼等がミクロネシア連邦に送還される事を意味する。 人口10万のミクロネシア連邦。3人に一人…

ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き

先月「号外 ミクロネシア連邦議会米国との自由連合破棄を決議」をこのブログに書いたところ、フォローせよとの指示をいただいた。指示をいただいたのが誰とは書かない、が報告内容は公開してもよいと思うのでここに書きます。 公開できない内容は、勿論ここ…

『世界がさばく東京裁判』監修佐藤和男2005年

今年、自民党の稲田議員が東京裁判を検証する勉強会を立ち上げる事を発言された後、多くの批判が、特に学者からの批判が出ている事に驚いた。 なんだか地球は回っていると唱えて宗教裁判にかけるレベルと同じではないか。。 検証とは黒白つける話ではない。…

日本海洋政策学会の第7回年次大会ー発表を終えて

12月5日に開催された日本海洋政策学会の第7回年次大会での発表を終えて、10日が経過した。 事前に、学会から発表内容が雑である、という指摘を受けて猛勉強したのが裏目に出て、さらにまとまりがなくなった。発表内容を大会前夜まで吟味し、一睡もでき…

2015年の総括 (4)ー 渡辺昭夫先生との出会い

当方が、太平洋島嶼国の仕事を25年継続できたのは、笹川陽平会長が高く評価してくれたから、である。 その笹川会長が、島嶼国基金運営委員長を降りる、という話が99年頃にあって、パニック状態になった。私の支援者は笹川会長ただ一人だったからだ。基金事業…

第4回フランスオセアニアサミット

久しぶりのフランスのニュースで。 太平洋で、海洋問題といえば、広大なEEZを領有するフランスは無視できない。 フランスの領海+EEZは11 035 000㎢。アメリカに次ぐ世界第2位の広さ。 ヨーロッパにあるフランスが領有する領海+EEZは334 604㎢のみ。 フラ…

パラオの3つのニュース

パラオも色々と動いている。麻薬問題、謎のフェリー、そして中国人のニュースを紹介します。 まずは昨年末突如現れた謎のフェリーThe Xian Ni 。 フィリピンのサルベージ会社が先週やっと引き上げたようである。 なぜか大統領府のFBには写真だけで、記事がな…

バヌアツの政変劇とチャイナマネー

今年5月日本で開催された「島と海のネット」会議に招聘した、バヌアツのラルフ•レゲンバヌ国土大臣。帰国した彼を待っていたのは不信任案を突きつけた野党による政権剥奪であった。 バヌアツ政府の改革を進めるレゲンバヌ国土大臣。 彼の不在中にキルマン外…

号外 ミクロネシア連邦議会米国との自由連合破棄を決議

2015年11月19日の、ミクロネシア議会で、現在米国と締結されている自由連合協定を2018年までに破棄することが決議され、大統領の了承待ちとなった。 決議内容は下記の通り。 自由連合は米国のミクロネシア連邦に対するチャリティではない。米国は安全保障で…

太平洋の楽園の島とヤクザ

今話題の「ツイッター組長」 当方もフォローさせていただいている。 「ツイッター組長」は留学経験もあり、英語も得意。世界の金融、経済、政治への視点も興味深い。 無視されるであろうと思いつつ質問してみた。 「外国人にどのように日本のヤクザを説明し…

日本海洋政策学会の第7回年次大会に向けて-トンガの海洋安全保障能力

いよいよ目の前に迫ってきた日本海洋政策学会第7回年次大会。 「議論が雑で、視点が定まっていない」 というアドバイスをいただいているのでトンガの海洋安全保障の件は触れないかもしれないが、2つのペーパーを読んだのでメモしておきたい。 一つは、立命…

あなたの島のために。FYI: FOR YOUR ISLAND, WHO?

パラオ地元紙Tia Belauにあった、クアルテイ医師による気になるコメンタリーである。 FYI: FOR YOUR ISLAND, WHO? By Stevenson Kuartei, MD Words from Orakidorm, Tia Belau 12 Nov 2015 (全文は下記に) あなたの島のために。で始まる3つのショートコメ…

パラオの中国人

パラオの中国人問題は一向に解決されないどころか、悪化の一途を辿っている様子である。 下記のパラオ地元紙に掲載されたコメントはショックだった。 PALAUANS STAY OUT AND KEEP OUT (2015) By Santy Asanuma Ngarker Olbechel, Tia Belau 11 Nov 2015 (全…

2015年の総括(2)ー 近現代史を学ぶ

2015年の一年の計を何にしたか忘れてしまったが、新年の天皇陛下のご感想(新年に当たり)を拝読し、2014年に続き近現代史を学んで行こうと思ったのは覚えている。 幸運な事に、民主党の近現代史研究会というのを近所の方に教えていただき、筒井清忠…

中国政府サモアに海洋研究キャンパスを支援

サモアと中国の国交40周年を記念し、中国政府がサモアの国立大学に33ミリオンタラ、約15億円の「 School of Maritime Training & Marine Research Campus 」を創設したとのニュース。 "China & Samoa celebrate 40 years with the opening of the $33m M…

日本海洋政策学会の第7回年次大会に向けてーパラオ、キリバス、日本のEEZ

以前書いたパラオと日本のEEZを人口、GDP、海洋警察数で比較した作業をキリバスも応用してみた。 案の定、パラオは太平洋島嶼国の中でもGDPが大きい。人口の約半分はフィリピン人を始めとする外国人労働者で、パラオ人のミリオネラーが結構いる。 それに比べ…

(残り僅かとなった)オバマ政権違法操業取締法令可決

2015年11月5日付 ”Illegal, Unreported, and Unregulated Fishing Enforcement Act of 2015”が可決されたというNOAA の漁業局のニュース。 ”United States achieves major milestone in efforts to combat illegal fishing” http://www.nmfs.noaa.gov…

エビ捨てモロジー 認識論

Epistemology 認識論 は 「エビ捨てモロジー」 と覚えればいいんだと「発見」した。 KJ法の論文を読みながらふと思い出した件である。 Peirceの認識論知ってから「当方の憶測ですが、」とか「当方の勘ですが、」と正直に書く様にしている。 事実だけで報告で…

日本海洋政策学会の第7回年次大会に向けて-マクミランにフルボッコされるウィルソン

日本海洋政策学会の第7回年次大会で発表させていただく内容は、2008年から現場で動かしてきた「ミクロネシア海洋安全保障事業」を中心。 よって、学術的な発表ではなく、実務として行ってきた8年間のまとめである。 しかし、最後に学術的研究の可能性を提案…

日本海洋政策学会の第7回年次大会に向けてー島嶼国違法操業の現実

What is happening in the waters of Palau, where an EEZ-wide marine protected area has been established? Ironically, the Mihama, a patrol vessel dispatched by the Japan Fisheries Agency who against Palau Maritime Protected Area, in response…

捕鯨問題 科学と裁判所の関係

太平洋を渡り歩いていると、特に海洋問題をやっていると「捕鯨」の問題は避けて通れない。 それで、わからないなりに時々フォローしている。 下記のニュースが出てTWを少し賑わしているようだが、その内容が大いに疑問なのだ。 捕鯨訴訟、国際司法裁判所で応…

日本海洋政策学会の第7回年次大会に向けてーメガ海洋保護区は何のため?

日本海洋政策学会の第7回年次大会での発表には、島嶼国の海洋管理に対する法執行の限界をいくつかの点から指摘したい、と考えている。 その一つが多分、今日10月28日に大統領が署名するであろうパラオの海洋保護区制定である。たった20名強しかいない…

日本海洋政策学会の第7回年次大会に向けてーThe Emergence of a Regional Ocean Regime in the South Pacific その2

前回ご紹介したBiliana Cicin-Sainさんの下記のペーパーをパワーポイントにすべく表にまとめてみた。 Biliana Cicin-Sain and Robert W. Knecht, The Emergence of a Regional Ocean Regime in the South Pacific, 16 Ecology L.Q. (1989). Available at: ht…

日本海洋政策学会の第7回年次大会に向けてーパラオと日本のEEZ

やはり学会発表を控えると気合いが入る。 以前より作成してみたいと思っていた、小島嶼国が広大なEEZを保有する意味を数字で表してみた。日本とパラオだけだが、できれば米豪や他の島嶼国も作成してみたい。 その結果は下記の通り。 【人口一人当たりのEEZ】…

日本海洋政策学会の第7回年次大会に向けてーThe Emergence of a Regional Ocean Regime in the South Pacific

12月開催の日本海洋政策学会の第7回年次大会に応募した研究テーマが審査を通過したとの連絡をいただき焦っている。 急遽海洋政策学会研究所古川博士に連絡をして確認した。 私「何かの間違いではないでしょうか?応募研究件数が少なかったとか。。」 古川博…