やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

第22回太平洋学術会議 ― その2「女性が作る海洋政策」

第22回太平洋学術会議 ― その2「女性が作る海洋政策」

 第22回太平洋学術会議、最終日はコーラル・トライアングル・イニシアチブ(CTI)のシンポジウムに参加。Convenerはマレーシア科学技術革新省、国家海洋局局長Nor Aieni Haji Mokhtar博士。政府主催のシンポジウムは昨日と違って満席であったし、勿論発表者は全員が揃っていた。

 マレーシア科学技術革新省のトップ3名は女性だそうである。そして省のスタッフ半分が女性だそうだ。今、マレーシアの海洋政策を国家海洋局局長Nor Aieni Haji Mokhtar博士(女性)が作成しており、最終案が出来たところ、と言う。

 2年前に発表された米国の海洋政策もNOAAのジェーン・ルブチェンコ博士が主導。海洋政策は女性が作るものなのかもしれない。

 日本語は「海」の中に「母」があり、フランス語はmere –母の中に mer – 海がある、とどこかで聞いた。

 さてある意味でマレーシア科学技術革新省主催のこのシンポジウムはマレーシアの事例発表が中心であった。しかもすべてうまくいっている、という話である。

 CTIは2007年にインドネシアのユドヨノ大統領が提唱。インドネシア、マレーシア、フィリピン、東ティモールパプアニューギニアソロモン諸島の6 カ国の排他的経済水域EEZ)にまたがる海洋と沿岸の生物資源の宝庫である海域を、政治的枠組みを越えてひとつの海域として連携し、保全するための多国間パートナーシップである。

 6カ国の進捗を比較した発表があり、ソロモン諸島MPA設定等断然遅れている事が指摘された。

 遅れているメンバー国へのサポートや、CTIの姉妹団体であるミクロネシア・チャレンジとの連携を質問してみた。国家海洋局局長はこの会議の後に他の分野との連携を図る会議を予定しいるとの回答であった。

 他にダイナマイト漁がサバでは行われているが、マレーシア半島では行われていない理由を調査した結果、日本占領時代にサバで同方法が紹介されたという発表があった。日本人の聴衆は私だけだったと思うが、こういう時、肩身が狭い。

 話はそれるが、パラオに麻薬売買を紹介したのも日本軍であったとシンポジウム参加者から聞かされた。それが本当であれば日本はイギリスから学んだであろう、と応えておいたが学術会議も政治とは切り離せない。

 

 マレーシア首相科学顧問のZakri Abd Hamid博士は同会議のキーノートスピーチの中で 

   Science in Diplomacy

   Diplomacy for Science

   Science for Diplomacy

の3つの概念を説明していた。

 東北大学准教授石井敦さんが捕鯨問題を「外交科学」の切り口で論じていたことを思いだした。