やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

第22回太平洋学術会議 ― その1「参加費」

第22回太平洋学術会議 ― その1「参加費」

 1920年に設立された太平洋学術会議の第22回大会が6月14-17日、マレーシアのクアラルンプールで開催された。

 自分の発表が15日にあったので、それが終わるまでは人の発表を聞く余裕が持てなかったが16、17日は、払った会費の元を取ろうと、なるべく多くのシンポジウムに参加した。

 16日は”Integrated Coastal Zone Management Including Coastal – Catchment Interactions and Coastal Marine Pollution”と題するシンポジウムに参加。8本の発表が用意されていた。

 Convenerのウーロンゴン大学ジョン・モリソン教授はツバル、フィジー、トンガの沿岸管理の話をされた。どこも比較的データも、質の高い科学者も揃っているが、政府が動かない、ということであった。

 地域機関のSPREPはどうか?と質問してみたが、SPREPはメンバー国でプログラムを展開し、各国政府を後押しするような動きはしていないらしい。

 以前、海洋政策財団の寺島常務のご紹介でエノックさんの沿岸管理に関する連続講義に参加させていただいたことがある。海洋管理とはガバナンスである、有力なガバナンスの方法としてnested approachを教えていただいた。トップダウンでも、ボトムアップでもない、巣作りアプローチだ。

 さて、8本のペーパーは地元マレーシアとインドネシアからの発表であったが、インドネシアからしか参加がなかった。予算が取れなかったのだそうだ。でも地元でしょう?ととなりの人に聞くと、参加費が高くて払えない、と言う。会議参加費は500米ドル。マレーシアの大学講師の月給に相当する。日本であれば3-40万円か。そりゃあ、助成金がつかなければ誰も参加できないはずだ。私は学生なので200ドル。4日間分のランチ、モーニングティアフタヌーンティ、プラス会議バック付き。

 今回の参加者は総勢800名で半分が地元マレーシアから。400人は45カ国から参加。

 欧米人主導できた同会議がせっかくアジア太平洋の人々が中心になりつつあるのにもったいない。せめて発表者には格安な参加費を設定したらどうであろうか。