やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

イングリッシュ・ペイシェント

イングリッシュ・ペイシェント

 一ヶ月の出張の書類の整理も終わらないうちに、海外から客人がやってきた。

 学者の愚夫の友人は世界中にいて、1年を通して遠慮容赦なく訪ねてくる。

 広くはない我が家に他人が泊まる事は結構面倒である事がわかり、これは断固阻止しているが、夕食を招いたり、案内をしたり、と結構忙殺される。

 さて、今回の客人はケンブリッジ言語学者である。

 なにやら大きな病気をされたとのことで、思わず映画『イングリッシュ・ペイシェント』の主人公が重なる方であった。(映画の事故に遭った後の主人公)

 社交辞令上、「お好きなものはなんですか?お嫌いなものはありますか?」と聞かせていただいた。

「何でも食べますよ。でも日本食が好きです。」

 ゲーッ。日本食か。。。素材がないのヨ。

 スーパーマーケットに行くとおいしそうなほうれん草が並んでいたので、メインをソバにする事にした。

 後は牡蠣のフライとジャガイモのサワークリム和え。

 イギリス人だ。なんでも食べる。

 面白い話しもたくさん聞けた。

 やはり、日本語の起源については日本国内では議論できないのだそうだ。

「やはり」としたのは、過去にも何人かの言語学者から同様の話しを聞いていたからだ。 

 日本語の起源は朝鮮半島にあるらしいが、それを政治的に受けれいない学者が多く、学問的議論は日本国内ではできないのでそうである。

 朝鮮半島と言っても、今の韓国語と日本語がかなり違う事は素人の私でも多少理解できる。今、朝鮮半島に住んでいる人々の前に住んでいた人々が日本に渡ってきたらしい。日本語は祖語はツングース語との説が有力らしい。

 そして日本語の海洋関係の言葉にはオーストロネシア語属の言葉が多く見られるという。

 太平洋に拡散したオーストロネシア語族は、日本の沿岸にも到達し、住み着いた人々もいるのであろう。藤原宮子なんてそうじゃないかと勝手に想像している。

 我が家のイングリッシュ・ペイシェントは、ソロモン諸島に旅立った。

 ソロモン諸島には120位の言語があるという。