やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

手話は公用語ーその4

手話は公用語ーその4

 娘は学校で、どのように手話を学んでいるのか、学校に取材しに行こうと思っているが、その前にある程度の学習が必要だ。

 日米同盟や魚の本、開発論の本に混じってウェッブで見つけた手話のカリキュラムを読んでいる。 これが面白い。

 第2の語学を学ぶ事は第1の言語を磨くことでもあり、複数の言語を習得した人は単数の言語習得者よりも他の言語を学ぶ能力が高くなるそうだ。日本語、マオリ語、英語、手話とたくさん過ぎないかしら、という親の心配は不要のようであった。

 また手話を学ぶ意義についても詳しく書かれている。マイノリティの違う文化を理解する事。ニュージーランドアイデンティティの一環として理解する事。社会で手話文化に触れた時、理解を示せる事、等々だ。

 評価も、人と比べる事ではない、個人の達成を評価する事。また評価は指導と学習のプロセスを評価する事で、生徒の能力を評価する事ではない、とまあ嬉しくなることばかり書いてある。

 

 手話の教育方法、というより言語教育、教育に関するユニバーサルな話が続いている。

 手話が学校教育に取り入られている事を報告する前に、ニュージーランドの教育システムについても簡単に触れておいた方がよいであろう。この分野専門家ではないのであくまでお母さん感覚での報告。

 教科書がない、時間割がない、テストがない。ではどうやってるかというと、学校や教師がテーマを選び、それに合った教材を集めて来る。1年は10週間ごとの4期からなるが、8月から始まった今期はずーっと宇宙のことを勉強している様子だ。

 生徒はグループになって座る。グループ学習をしているようである。

 9時に学校が始まり、10時半頃モーニングティがある。ランチもモーニングティも好きなところで勝手に食べる。お天気の良い日は近くに散歩に行くし、音楽の個性を伸ばした生徒には、学校に音楽教師を招いて個人レッスンの機会を提供する。こんなにフレキシブルでいいの?と思いたくなる程フレキシブル。

 こんな自由で学力レベルは多いに不安になるところだが、OECDの調査結果でニュージーランドは常に上位だ。下記は2009年の統計結果。

 <読解力> 世界7位(日本は8位)

 <数学的リテラシー> 世界13位(日本は9位)

 <科学的リテラシー> 世界7位 (日本は5位)

 さて、100ページある手話のカリキュラム教本、ゆっくり読んでいるのでなかなか進まないが、11月には現場報告ができるように目指したい。