やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

世界分捕り合戦ー鳥のウンチ法で米国が獲得した領域

やっぱりWikipediaは便利である。 Wikipediaを単純に批判する人は、権威あるエンサイクロペディアの間違った情報や、大学で出されているWikipediaの利用方法などを参照されたい。 さて、米国の50%の EEZが太平洋の「島」によって形成されている事を以前書いた。 なぜ米国が太平洋の無人島を領有することになったか? 拡張主義時代、ペリーが浦賀沖に現れた3年後の1856年に制定された"Guano Islands Act" - (燐鉱石島法、私は「鳥のウンチ法」と訳している。)のためである。 太平洋における米国帝国主義に関する文献を読んでいたら、この「鳥のウンチ法」で米国が獲得した島は100近くあると書いてあった。 Wikipediaにそのリストがあった。"List of Guano Island claims" 55の島がリストアップされている。 55の中で現在も米国領にとどまっているのが9。太平洋のキリバスに属しているのが19。クック諸島4。ツバル4。トケラウ3。日本1(南鳥島)。 キリバスの19というのは注目したい。現在キリバスが約350万平方キロメートルという広大なEEZを所有しているのは米国と戦った結果ではないだろうか。いったいどんな交渉が展開されたのか、興味深い。 キリバスが英国から独立した年の1979年に調印されたTreaty of Tarawaでその領有が決まったようだ。当時28歳の初代タバイ大統領の活躍が目に浮かぶ。 なんだか欧米諸国は世界地図に線を引いてここから右はポルトガル、ここから左はスペインと決めてみたり、海は自由だと主張してみたり、鳥のウンチ法で島の領有を宣言したりとまあやりたい放題だ。
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