やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

島のイニシアチブを支援する日本

Japan to Assist Fiji with Regional Training Program for PIDF Countries

オーストラリアとニュージーランドのいるPIFには戻りません。自分達が立ち上げたPIDFで地域の開発を進めます。ここにはオーストラリアとニュージーランドは入れません!と宣言したフィジー。第2回のサミットが6月18−20日までフィジーで開催されていた。

日本の立場は? 気になっていたところへのバイニマラマ首相のスピーチである。

日本は向こう3年、2.3ミリオンドル(多分フィジードル)を南南協力で支援する。

フィジー政府が自ら計画し運営する人材育成で、対象はツバル、キリバス

これを豪州がやったらホワイトエキスパトリエートがわんさかやってきて、予算も何十倍位になるであろう。こういう白人臨時専門家への支払いの額は桁が3つ4つ違う。そして成果がほとんどなくて、援助の効果がない事を島のせいにする、よくある話。

このバイニマラマ首相の発表は、日本のメディアはどこも取り上げないが、強調し過ぎる事がないほど日本の戦後外交、太平洋外交に深い意味を持つ。

1.まずはPIDF、即ち太平洋の新パラダイムは日本を歓迎している事。

2.伝統的援助国であるオーストラリア、ニュージーランドへの強烈な批判である事。

3.「伝統的援助国」とは戦勝国の事である。先の大戦のリベンジはバイニマラマが、太平洋島嶼国がやってくれているような気がするのは私だけであろうか。(戦わずして勝った!)

我らがレメンゲサウ、パラオ大統領も今年の所信表明演説で「日本とは100年の歴史がある」と言明。即ちベルサイユ条約で日本が委任国になった歴史を、オーストラリア、NZ、米が忘れようとしている歴史を、パラオ自らが明確に述べている事はどこかに書こうと思っていてウッカリ忘れていた。人種差別が当たり前の当時、欧米諸国が夢にも思わないような植民地統治(南洋庁経営)を日本はしていたのである。

最後に歴史のif

もし、第一次世界大戦後日本が赤道以南の統治も委任されていたらどうであったであろうか?多分、太平洋島嶼は違った発展を遂げていたであろう。

もし日本が第一次世界大戦に参加していなかったら。多分太平洋はドイツ領となり、日本は日英同盟を解消してドイツと太平洋地域で経済的開発を進めていたかもしれない。Hamburg Süd の貨物を太平洋で目にする度にそんなifを想像していまう。