やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

参議院での太平洋クロマグロ議論(1)

参議院で太平洋クロマグロがこんなに議論されているとは知らなかった。

記録だけ。

参 - 農林水産委員会 - 9号

平成27年05月21日

舞立昇治君 (前略)

続きまして、本日のメーンテーマでございますけれども、これも火曜の徳永議員が取り上げたテーマと同じで恐縮でございますけれども、本日は、私の地元鳥取県の水産都市でございます境港の生命線とも言える太平洋クロマグロの資源管理の問題を集中的に取り上げさせていただきたいと思います。

 現在の水産業でございます。地球温暖化等によります海洋環境の変化、水産資源の減少、近隣諸国の乱獲、燃油等のコストの高止まり、魚価の低迷、担い手不足など、大変厳しい経営環境にさらされながらも、国が描く水産日本の復活に一縷の望みを懸けて、私の地元もそうでございますけれども、全国の漁業者、卸売、仲買、製氷、運送、飲食業など、裾野の広い水産関係者一同が歯を食いしばりながら頑張っておられるところでございます。

 林大臣の所信にも、漁業者の所得の向上を図るため、浜の活力再生プランの策定による構造改革を推進する、その上で、資源管理の推進や担い手、漁船漁業の体質強化、省コスト型の生産体系への移行、輸出促進等を推進し、収益性の高い持続可能な漁業、養殖業を展開していくと記述されておりまして、私もそうした方向でしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 現在、太平洋クロマグロの資源管理の問題に当たりましては、クロマグロの資源回復には産卵親魚の規制を強化すべきといった科学的根拠に基づかない議論を展開して、NHKの「クローズアップ現代」とか月刊誌ウェッジなどのマスメディア、そしてインターネット等を利用しながら感情論や感覚論に訴えて世論形成を図る動きが一部見られ、私としては非常に遺憾に思っているところでございます。

 水産日本の復活に当たりまして、資源管理の取組を適切に行い、昔のようにまたたくさん漁獲できる環境を整備することが重要な要素の一つだと考えますけれども、一方で、十分な科学的根拠もなく、有効とは言えない資源管理を無理やりやって、それを生業にされておられます漁業者始め多くの関係者の経営や生活が窮地に追い込まれるとしたら、それは水産日本の復活どころか復活前に立ち直れなくなると、廃業を余儀なくされるといった事態となり、そんなことは私は絶対やっては駄目だと考えております。

 この資源管理の推進に当たりましては、漁業者や加工業者等多くの関係者が関係しているだけに、感情論、感覚論に陥ることなく、足下の水産業の振興に支障がないよう留意しつつ、確実に資源が回復するという科学的根拠、正確な事実関係等に基づき関係者一同が心を一つにして取り組んでいけるよう、冷静に議論していく必要があると考えております。

 今日は、誤解を与えるので配付するかどうか迷いましたけれども、世間ではこんな情報戦術が行われているという事例の一つといたしまして、先ほど話した月刊誌ウェッジ五月号の特集記事の抜粋、そして私が農水省さんからいただいた資料、私の方で加工したものでございますけれども、その二部構成で配付資料をお配りさせていただいております。それを見ながら進めていきたいと思いますけれども、農水省さんの方も答弁の際に私の配付資料で使えるところは使っていただいて全然構いませんので、よろしくお願いいたします。

 そこで、まず初めに、この配付資料、ウェッジ、二枚物でございますけれども、五月号のクロマグロの記事につきまして、この東京海洋大学勝川准教授の投稿記事全般につきまして水産庁の見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(本川一善君) 御指摘のように、太平洋クロマグロにつきましては資源状態が非常に悪化をいたしております。この資料でいきますれば、太平洋クロマグロの資源状況というのが三枚目の資料の上側に書いてございますが、このような形で低位の水準にあるわけでございます。これ、国際的に利用している資源でございますので、先日も御論議いただきましたように、北太平洋まぐろ類国際科学委員会というところで全体的な資源評価を行って、どういう措置をとることが効果的かという話をずっとしてきておられます。

 この資料の一番最後のページの下側を御覧いただきますと、そのISCという科学委員会が行ったシミュレーションの資料が出てございます。御覧いただきますと、この赤の線で取り組んでいった場合にこのような回復をしていく、これ以外ではなかなか回復が見られないといったような試算もした上で、国際合意に基づいて、ここにありますように、小型魚を五〇%削減するという場合にはこの赤のような改善が見られると、そういうような科学的根拠に基づきまして小型魚を中心に資源管理を行っていく、そのようなことがWCPFCで決定され、これを、先日もここで御論議いただきましたけれども、今、日本国内で実施しようとしているところでございます。

 こういった中で、この記事につきましては、大中型巻き網漁業による成魚、産卵をする親の魚の漁獲の一部を殊更にクローズアップをして、これが太平洋クロマグロ資源全体を危機に陥れるとの主張がなされているわけでございますけれども、私どもとしては、率直に言って公平性や科学的根拠を欠くものではないかというふうに考えているところでございます。

舞立昇治君 ありがとうございます。私も同感でございます。

 個別に入っていきたいと思いますが、このウェッジの資料の一枚目で左下に三十一ページと書いてあると思いますけれども、その上から二段目、右から五行目ですね、傍線引かせていただいておりますけれども、二〇〇四年から日本海の産卵場に集まってきた産卵群を巻き網が一網打尽にするようになった、それ以降、日本周辺でのクロマグロ成魚の漁獲量が減少している、親魚が集まる産卵場で集中漁獲をした結果、長年蓄えられてきた産卵親魚をあっという間に切り崩してしまったのだといったようなことが書かれておりますが、事実関係をお聞かせください。

○政府参考人(本川一善君) 太平洋クロマグロの未成魚の発生につきましては、親魚の資源量にかかわらず、環境要因に左右されるところが非常に大きいと認識しております。

 先ほど申し上げましたように、北太平洋まぐろ類国際科学委員会、ISCという科学者の方々の集まりの場では、太平洋クロマグロの親魚資源が減少していることについては、漁獲のほとんどがゼロ歳から二歳までの未成魚が大半を占めております、近年、この漁獲が増大したこと、それから一方で、未成魚の発生が少ない年が頻発をし、その結果、親魚まで生き残る魚が少なかったことが主な原因であるというふうに科学委員会が分析をしております。

 このように、ISC、科学委員会は日本海の産卵場での漁獲が親魚資源の減少につながったということは言っておりませんで、ウェッジに記載のあるような、〇四年から始まった日本海の産卵場での漁獲の影響により成魚の資源量や漁獲量が減少してきたという指摘は、事実とは異なるんではないかと考えているところでございます。

○政府参考人(本川一善君) 太平洋クロマグロの未成魚の発生につきましては、親魚の資源量にかかわらず、環境要因に左右されるところが非常に大きいと認識しております。

 先ほど申し上げましたように、北太平洋まぐろ類国際科学委員会、ISCという科学者の方々の集まりの場では、太平洋クロマグロの親魚資源が減少していることについては、漁獲のほとんどがゼロ歳から二歳までの未成魚が大半を占めております、近年、この漁獲が増大したこと、それから一方で、未成魚の発生が少ない年が頻発をし、その結果、親魚まで生き残る魚が少なかったことが主な原因であるというふうに科学委員会が分析をしております。

 このように、ISC、科学委員会は日本海の産卵場での漁獲が親魚資源の減少につながったということは言っておりませんで、ウェッジに記載のあるような、〇四年から始まった日本海の産卵場での漁獲の影響により成魚の資源量や漁獲量が減少してきたという指摘は、事実とは異なるんではないかと考えているところでございます。

舞立昇治君 同感でございます。

 今日の縦二枚の資料の一ページの上の表を見ていただければ分かると思いますけれども、要は、一九九五年ぐらいから今までずっと確かにクロマグロは減ってきているわけであって、二〇〇四年から境港で巻き網を開始してから減少したわけでもないということが分かりますし、二〇〇四年から初めてその減少率が大きくなったわけでもないということが分かると思います。

 本当に、先ほど言われたように、巻き網は昔から実施されておりますし、この親魚量と加入量の間に有意な関係は見られないとISCの科学委員会の方も言っておりまして、そうだからこそ、未成魚の漁獲抑制が最も効果的といって今頑張っているところでございまして、こうしたちょっと事実誤認の記事を載せられるのはいかがなものかと思ったところでございます。

 次に、同じくこのウェッジの一枚目で、三十一ページの二段目、上からですね、左から二行目のところの傍線を引いている部分でございますけれども、産卵場での集中漁獲の結果として、生まれてくる稚魚の数が急速に減少しているといったことの記事につきまして、ここにつきましても事実関係を伺いたいと思います。

○政府参考人(本川一善君) 水産庁が発表しました二〇一四年の加入量調査におきまして、二〇一四年生まれの加入は低かったということが見られておりますけれども、先生が御配付された資料の、私の持っているもので三ページでございます。先ほど御覧いただいた資料の下側を御覧いただきたいと思います。三枚目の下側、親魚資源量・産卵量の動向と小型魚の加入状況という、ちょっと小そうございますが、資料がございます。ここにチャートが五つ載っておりますけれども、その右側のグラフを見ていただきたいと思います。

 上側は、横軸に産卵の親魚資源量、親魚の資源量を取っております。それから、縦軸に産卵量を取っております。このように産卵量と親魚の資源量というのは右肩上がりの正の相関があるというふうに見受けられます。当然のことながら、親魚が多いほど産卵量は多いというのがこの右側の一番上の資料でございます。

 それから、その下側は、親魚の資源量と今度は卵で生まれてある程度の大きさにまで育って未成魚として加入してくる魚の量というものを取っております。これを御覧いただくと、同じ親魚量のところから上に上っていっても多かったり少なかったりというのが見て取れると思います。

 このように、クロマグロの幼魚の加入量は親魚の資源量とは無関係にそれぞれ変動しておるといったようなことでございまして、産卵数よりも、産卵をするということよりも海洋環境の方がやはり大きく影響するんではないかと。たくさん卵が生まれても、その時々の海洋環境によって未成魚まで生き残るかどうか、こういったことが大きく影響しているわけでありまして、産卵場の産卵、親魚資源量の産卵が全てを規定していることでは決してないというふうに見受けられるわけでございます。

 それから、北太平洋まぐろ国際委員会、先ほどのISCも、日本海の産卵場での漁獲が親魚資源の減少につながったとはしておりませんで、先ほど先生御指摘があったウェッジの記事の産卵場での集中漁獲の結果として生まれてくる稚魚の数が急速に減少しているという指摘は事実とは異なるのではないかと考えております。

 この点につきましては、私どもの担当課長の方から、このウェッジの原稿を書かれた勝川准教授に対しまして、資源の悪化が日本海の巻き網による漁獲に起因するとした科学的な根拠は何でしょうかということを事務的にお伺いをしている、そんな状況でございます。

舞立昇治君 ありがとうございます。ごもっともだと思います。

 先ほどの縦二枚の二ページを御覧いただければと思いますけれども、二ページの下の表でございます。太平洋クロマグロの産卵量でございますけれども、日本海で三割弱、南西諸島で七割強と。仮に日本海側で、今自主規制、上限二千トンにしておりますけれども、この産卵量に与える影響は全体の六%程度ということが表で書かれております。こういったようなことで、親魚と稚魚の相関関係は確認されないほか、生存率、先ほども言われましたように海洋環境により大きく影響されるということで、ほとんど関係ないということが分かるかと思います。

 次に移りたいと思います。

 次に、ウェッジの二枚目の資料をめくっていただければと思いますけれども、右下の三十二ページのところで、上から二段目の傍線が、二段目で右から一行目ですね、残念なことにと、かなりちょっと長く傍線を引かせていただいておりますけれども、この部分につきまして事実関係をお聞かせいただければと思います。

○政府参考人(本川一善君) ここには、資源に甚大な影響を与える産卵場の巻き網規制は無規制のままだというふうに書いてございますが、この産卵場につきましては、いろいろな議論を踏まえまして、親魚の漁獲全体について二〇〇二年―二〇〇四年の水準で抑制をするといったようなことの一環として、日本海の大中型巻き網業界におきましては二〇一一年漁期から六月―八月の産卵親魚の漁獲量を二千トンに抑制するといったような自主的な措置を講じているところでございます。この点につきましては、更に踏み込んで、本年漁期からは、自主的な取組を強化して八月の操業を自粛するとともに、六―七月の漁獲量が千八百トンを超えないよう管理をするということを巻き網業界として決定していると、そのような状況でございます。

舞立昇治君 ありがとうございます。決して巻き網団体何もしていないというよりかは、非常に頑張っているということでございます。

 ここで、委員の先生方、縦二枚型の四ページをちょっと御覧いただきまして、四ページの上の表のところでちょっと私の記載ミスがございました。済みません。四ページの上のところの真ん中辺りの米印で、本年より、全国の漁業者が一体となって漁獲削減の取組が行われることを踏まえ、八月の操業を自粛し、産卵期の六―七月の漁獲を、千八百一トンというか、これ、一八〇〇一というふうに見えるんですけれども、これは千八百の間違いでございますので、訂正しておいていただければと思います。誤りまして済みませんです。

 そういったことで、今まで二千トンでやってきて、今年から未成魚の取組が本格的に始まるということで、巻き網側からも苦渋の決断としてこの千八百に更に抑制されるといったような決断もされております。そうした資源管理を取り巻く状況を総合的に考慮した上でのこの巻き網側の決断に、私としては敬意を表したいと思っております。

 続きまして、同じくまたこのウェッジの二枚目に戻りますけれども、右下の三十二ページのところのまたちょっと上から三段目の右から五行目のところから始まります、これもちょっと長い文章でございますけれども、クロマグロ未成魚は日本中の小規模漁業者が多種多様な漁法で利用している。それに対して、クロマグロ産卵群を漁獲しているのは少数の水産大手企業の巻き網漁船のみだ。普通の国は大規模な漁業から規制していくのだが、うんちゃらかんちゃらというふうに書かれておりますけれども、これの記事につきましても事実関係をお聞かせいただければと思います。

○政府参考人(本川一善君) 中西部太平洋まぐろ類委員会では、小型魚の削減が先ほど来申し上げていますように急務とされておりますので、漁業種類を限定せずに、小型魚の漁獲実績がある全ての漁業に対し小型魚の漁獲を抑制する取組を行っているところであります。巻き網漁業に対しては、沿岸の漁業者以上の削減率になるように漁獲上限を設定しているところでございます。

 また、大型魚、親魚につきましては、昨年の中西部太平洋まぐろ類委員会において漁獲量を二〇〇二年から二〇〇四年の平均漁獲量以上に増加させないという努力規定が導入されておりまして、我が国の漁獲の上限は四千八百八十二トンとなったところであります。

 これに加え、先ほど来御論議ありますように、巻き網業界では日本海の産卵期における漁獲自主制限をこれまで二千トンで実施をしてきており、これを六―七月に限定して千八百トンということで更に強化をするといったような状況にあるわけでございます。

 このように、巻き網漁業を含む関係する全ての漁業に対しまして資源管理の取組を求めているところでありまして、零細漁業者にのみ規制を掛けて、資源に最も影響を与えている大手企業は放置しているというのは事実と異なるということでございます。

舞立昇治君 ありがとうございます。

 先ほどの問題とも関連いたしますけれども、巻き網団体、船団別割当て、操業一時停止等によりまして事前の漁獲管理を徹底していると、そして現状、昨年の状況からすれば、捕れるのに我慢している状態というふうに聞いておりまして、巻き網団体の取組、思いを逆なでするような記事はやっぱりちょっとどうかなと思います。

 今日は質問で取り上げませんけれども、沿岸側の定置網の捕捉ですとか水揚げする場所での確認体制の整備など、資源管理はきちんと末端まで正確に捕捉、把握できるのかというようなことはちょっと私も疑問に思っておりまして、巻き網団体始め関係者、そして一般の方からの信頼に応えるためにも、是非農水省の方には、クロマグロの漁獲量に関しまして、沿岸側の方も正確な把握、確認、管理体制の整備に努めていただきたいと思っております。

 そこで、次でございますけれども、ここまで話してきましたが、産卵親魚に係る巻き網団体への規制強化は全くの不適当といたしまして、一方で、このウェッジの記事にございます長崎県壱岐市のように、マグロを捕りたくても余り捕れなくなったといったような沿岸漁業者も存在し、沿岸側が何とかしてくれと主張されることにはやはり感覚論、感情論としては理解できますし、それはそれできちんと受け止める必要があると思っておりますけれども、水産庁といたしましては、この沿岸漁業者のこうした主張に対しましてどのように受け止め、どのように対応しているのか、お聞かせください。

○政府参考人(本川一善君) やはり、これまで捕れていた未成魚のクロマグロの漁獲を抑制するということになりますれば、やはりそれなりの収入の減少もありますし、沿岸漁業者の方々、特に規模の大きくない沿岸漁業者の方々の御不安があることは十分承知をしているところでございます。

 このため、私ども、今回の資源管理措置の導入に当たりましては、全国五十か所以上の現地説明会、全国の説明会などによって意見交換を行い、巻き網のみならず全ての漁業で資源回復のための犠牲を払う必要がある、このような旨を説明を行っているほか、現在も都道府県が開催する漁業関係者への説明会に水産庁職員が出席しまして、意見を伺っているところであります。

 この中で、先ほど申し上げましたように、やはり収入が減少した場合の支援策、こういったものを講じてほしいという強い御意見をいただいてきたところであります。このため、平成二十六年度補正予算におきまして、太平洋クロマグロについて、漁業収入安定対策事業を拡充し、従来よりも厳しい資源管理に取り組む場合には補填割合を引き上げるなどにより手厚い減収補填を行えるように措置してきたところであります。

 今後とも、そういう沿岸漁業者の方々のお気持ちを十分踏まえながら、関係者の意見を丁寧にお聞きし、管理手法を改善しながら適切な資源管理に取り組んでまいりたいと考えております。

舞立昇治君 ありがとうございます。是非丁寧な対応をお願いしたいと思います。

 恐らく沿岸側も、西日本の例えば九州の側と東北、北海道の側で、漁獲域が北上していると言われている中で、恐らく東北、北海道の沿岸漁業者の方って余りそんなに全然捕れないといったような感覚はないのかなと思っておりまして、その辺、非常に地域差があると思いますので、やっぱり現場現場ごとに非常に丁寧な対応をお願いしたいと思います。

 今回ウェッジの記事を取り上げさせていただきましたけれども、いろんなところで賛成、反対といったようなちょっと感覚、感情論の議論があるところでございまして、そこはやっぱり建設的ではなく、私は非常に残念に思っております。間違った情報が一般社会に流布していくと、やはり多くの方が誤解を生じまして、クロマグロへのイメージを始め、流通や消費等にも悪影響が生じるのではないかと懸念しているところでございます。是非、国としてもこうした問題を冷静に受け止め、しっかり事実関係、取組状況などを説明、周知し、できる限り世間に誤解を与えないように努めていくべきと考えておりますけれども、現在の取組状況ですとか対応方針等につきましてお聞かせいただければと思います。

○政府参考人(本川一善君) 我が国は太平洋クロマグロの最大の漁業国であり、最大の消費国でございます。そういう国として資源回復に向けた措置を確実に実施していくことが重要でありまして、そのためには漁業者を始め流通・消費分野を含む幅広い関係者の方々の御理解、御協力を得ることが不可欠であると認識しております。

 このため、太平洋クロマグロに係る資源状況、国際合意の内容及びそれを踏まえた我が国としての資源管理の方向性について先ほど来申し上げた説明会で御説明したり、関係者と意見交換をしたり実施をしてきておりますし、先生が今日お出しになった資料の大半は私どものホームページでも掲載させていただいたりして周知を図ってきているところでございます。

 それからさらに、資源管理問題全体につきましては、明日、閣議決定を予定しております今年度の水産白書におきましても、相当数のページを割きまして、諸外国の資源管理の状況も含めて、広く国民の皆さんにお知りいただくような工夫をしているところでございます。

 そういうホームページで公表するなど、正確な情報の周知を図っておりまして、引き続き、積極的かつ正確な情報発信に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

舞立昇治君 ありがとうございます。是非、今後ともよろしくお願いいたします。

 やはり、クロマグロといいますのは、太平洋、西は日本の南西諸島、台湾沖から、東はメキシコまで、広範囲に回遊する高度回遊性魚ということでございます。今のこのクロマグロの現状につきまして、本当に少なくなってしまっているのか、そして、地球温暖化など海洋環境が変化したことにより、回遊域がかなり北上しているんじゃないかなど、やはり、より詳細な観測調査、研究評価が求められていると私は思っております。そうした上ででないと、正確な情報がないと、やはり全国の現場の漁業者の思いに正面から応えることにはならないと思いますし、資源管理を有効に機能させていくためには、一人一人の漁業者の高いモラルと、そして海やクロマグロに対する思い、そして水産庁を含め、信用できる機関の科学的データ、根拠に対する信頼があってこそと考えております。

 このクロマグロ問題の最後でございますけれども、農林水産省におきましては、クロマグロの資源管理に当たりまして関係者から広く理解が得られますよう、そして、より効果的な資源管理がなされるように、観測地点の拡大や調査手法等の充実を始めとする資源調査、研究評価体制の予算及び体制面の強化をしていただきたいと考えておりますが、最後に、大臣の決意といいますか、御見解をいただければと思います。

国務大臣林芳正君) クロマグロを始めとしまして、水産資源を適切な管理をしていくことは、漁業や関連産業、浜の活力再生にとって、魚を持続的に捕るための基本になる役割、これを担うものだと認識をしております。

 昨年、水産庁が開催をいたしました資源管理のあり方検討会の報告においても、データ収集の強化、海洋環境の影響解明、こういうことによって資源評価の精度向上を図るべきとお取りまとめをいただいたところでございます。

 農林水産省としても、これまでも、平成二十六年度以降、クロマグロの未成魚のモニタリング調査の強化などを図ってきておりますが、今後とも、資源管理を行う上での基礎となる資源調査、これを的確に行ってまいりたいと思っております。