やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

未来に魚を残そう

パラオ海洋保護区の問題を指摘するウィップス大統領と柄澤大使

https://islandtimes.org/a-new-chapter-in-the-history-of-palaus-pelagic-fisheries-karasawa/ 柄澤大使は、3隻の船はパラオ国内の遠洋漁業市場を強化し、乱獲されているサンゴ礁の種のストレスを軽減するのに役立つと説明。 「パラオの漁業を取り巻く状況…

クニオ・ナカムラ大統領の遺産(3)レメンゲサウ政権の環境保護懸念

ナカムラ大統領の任期は1993−2001年で4年の任期を2期務めた。その座を副大統領としてナカムラ氏を支えた現大統領のレメンゲサウに譲ったのである。 しかし、レメンゲサウ政権は環境保護を、時の流れに沿って強く押し出した。これにナカムラ大統領は強く反対…

カンパチとナヴァロの水産改革

2020年5月7日の大統領令で示された米国の水産改革。同日のウォールストリートジャーナルに、トランプ政権の通商戦略ブレーン、ピーター・ナヴァロと国内政策会議(DPC)委員長ジョー・グローガンの連名で記事がでた。 "Trump Lifts the Net off American F…

トランプ大統領とピーター・ナヴァロの漁業・海洋政策<追記あり2020.5.26>

これこそドンピシャの私の研究課題。後で読みますが、要はオバマやデカプリオ、PEWが工作してきた海洋政策の転覆でパラオや太平洋島嶼国に関連してくる話。。 しかし、まさかナヴァロが漁業政策を語るとは思わなかった。。 <追記1> トランプ大統領とピー…

海洋国家日本、水産大国日本

魚がいなくなるというアジテーションに乗せられて、最初に読み始めたのが勝川さんという若い研究者のレポート。わかりやすくすんなり納得できる内容だった。しかも彼は政治家に働きかけ、象牙の塔ではなく現場で活躍し眩しく見えたものだ。 その内、水産の専…

<緊急提言>ソロモン諸島の中国対応策ー日米豪英で対抗せよ!

ソロモン諸島が台湾との断交を決定してしまいました。落ち込んでいてもしょうがありません。対策を提案します。 ソロモン諸島、中国から500億円の援助と共に台湾と断交。国連総会でペンス副大統領が同国首相と会談の予定だが、中国は全てお見通しで前倒し…

ソロモン諸島は日本の一大水産基地であった。

ロイターがニュースを出して結構話題になっているが、あまりにも現状認識が酷すぎるので一筆。 reut.rs ソロモン諸島がいよいよ台湾から中国へ外交関係を変更とのニュース。まだ決定ではありません。9月8日からソロモン諸島外相が台湾を訪ねています。 ソロ…

米国海洋政策は元海軍少将がトップに

知らなかった。昨年の6月いやもっと前か。海軍出身の海洋学者RDML Timothy Gallaudet がNOAAの、すなわち商務省次官補となり米国の海洋政策を率いる。9月9−13日パラオに入る。どんな海洋政策を示すのか? 下記のビデオを見ているが、科学データを基本とした…

太平洋の壁を取り払うトランプ政権

国境に大きな壁を建てているトランプ政権だが、この度太平洋の壁となりそうであった法案REAL ID Actの壁を取り除いた。 REAL ID Actとは?詳細は下に「日刊サン」といウェブ情報をコピーしてあるが、9.11以降に制定された新たな法律で2020年10月以降完全…

商業捕鯨を再開すると南極での活動ができなくなる理由

美味しそう! 昨日読んだ森下、岸本論文の下記の部分が気になり、これこそ今度の国際法学会の主要テーマ「多元化する条約体制による秩序形成と維持」なのではないかと条約を当たってみた。以下の条項だと思うが違うかもしれない。 環境保護に関する南極条約…

「商業捕鯨再開へ向けて」森下、岸本論文

ウェブで偶然見つけた捕鯨関連の論文だ。掲載場所と日時が明確ではないのだが資料の最後にある下記の連載記事を集めたものかもしれない。 森下丈二、みなと新聞連載「商業捕鯨再開に向けて」(2015 年 2 月 19 日から 11 月 12 日、隔週、計 20 回)。 50ペ…

IWCを変容させた米国動物愛護団体

「UNLCOS65条の適切な国際組織、あれ複数にしたの日本ですよね。」 「そのはずだけど。」 知り合いのジャーナリストから連絡があった。以前ざっと読んでメモした動物愛護団体の幹部パトリシア・フォルカン女史のペーパーを再度読んだ。 yashinominews.hatena…

日本を悪者にする日本政府とパラオのフェイク海洋保護区

パラオがその80%のEEZを禁漁とする海洋保護区法案に動き出したのが2008年。私はそのアイデアをレメンゲサウ大統領から直接聞いた最初の人間だ。 まさか国交省、海保、日本財団がこんなに海洋音痴とは当時は知るよしもなく、その案を押し進めようとする笹川…

IWC脱退と南極捕鯨の「藪の中」

IWC脱退を巡って、南極捕鯨からの脱退と沿岸捕鯨再開の綱引きを取り上げ、日本が妥協していれば脱退する必要はなかった、という論調が多く見られる。例えば下記の記事だ。 IWC脱退の怪 2018.12.30 高成田 享 「南極海での捕鯨を縮小ないしは撤退する代わりに…

それでもマグロを絶滅させたい人のために

昨日、FBF が「マグロは絶滅危惧種」と書いたウォールをシェアしていたので、未だにそんな馬鹿な事を言っているのは誰だ?と思ったら大学の教授であった。ジェトロ退職者のようで水産業はド素人らしい。 「何言ってるんですか?マグロの卵の数知っているんで…

中国によるタヒチ・ハオ環礁開発の真意

www.radionz.co.nz タヒチで起っていること、ましてやその離島の離島、ハオ環礁の存在自体も、そこで中国が行っている恐ろしいことも誰も知らないし、気にしない。 だからここに書いておこう。 フランス政府の核実験基地であったハオ環礁。実験終了後は大き…

米国大統領が進める間違った海洋政策

間違った水産政策、海洋政策が進められているのは日本だけではない。米国はブッシュ、オバマ時代に広大な海洋を禁漁区とした。その影響を受けて米領サモアでは唯一の収入源となっている缶詰工場が3件のうち2件、閉鎖した。近隣で漁業ができず、マグロが水…

アングロサクソン金融マフィアの手に落ちる日本の水産改革<追記あり・郵政民営化も支援>

「早川さん、GR Japanって知ってますか?」 このブログで水産資源の事も取り上げてきている。私の専門分野ではないが海洋問題=水産資源と言っていいほど切り離せないのだ。そして2008年に私が一人で立ち上げたミクロネシア海上保安事業が日本財団、笹川平和…

最も不明確な条項ーUNCLOS65条

パトリシア・バーニー女史の65条に関するペーパーがあった。 ”Marine Mammals: Exploiting the Ambiguities of Article 65 of the Convention on the Law of the Sea and Related Provisions: Practice under the International Convention for the Regulati…

労働者を殺し、奴隷船を支援する太平洋島嶼国の旗

www.hellenicshippingnews.com パラオの旗がバングラデシュの2人の若い命を奪ったニュース。 お金がない小島嶼国の収入手段が便宜置籍船ビジネスだ。このブログでもさんざん取り上げて来ている。廃船同様になった船を環境規制や安全規制の法律がない東南ア…

Transparency for Tuna and Casino with Chinese friend

Our Oceanと言うオバマ政権のフェイク海洋保護活動で、先日AIを利用した完璧なマグロ管理を披露したミクロネシア連邦のクリスチャン大統領。中国のカジノ進出を支持する法案を準備している事も書かれている。 AIを利用した完璧なマグロ管理を進めているのがT…

Transparency for Tuna or Tax Haven

en.antaranews.com なるほど。ミクロネシア連邦はTNCにやられているわけだ。この団体、環境保護という美名の下に違法操業やってる中国のルエンタイから資金提供を受けている。日本ではAPICという外務省の外郭団体がこれも海洋環境保護をうたいつつミクロネシ…

中国とバヌアツのせいで日本人の食卓からサンマが消える?

以前、日本の水産庁が提案するサンマ資源管理になぜか中国と共にバヌアツが反対したのかブログに書いた。 yashinominews.hatenablog.com 最近バヌアツに関する質問をメディアから受け、数字の確認をするためにIMFのレポートを読んでいたら興味深いグラフを見…

ミクロネシアの中国公使

このブログは水産庁の方もよくご覧になっているそうなのでこの写真を貼っておきます。重要なのは写真の2人の男性、Mr. Henry Tan, CEO of Hong Kong Luenthai Group Ltd. とMr. Samuel Chou, President of Liancheng Overseas Fishery Company。 ミクロネシ…

なぜバヌアツは秋刀魚絶滅に加担するのか?

サンマの資源管理の国際会議で、日本の提案を中国とバヌアツが反対した、と言う。 中国はわかる。なぜバヌアツが? タックスヘイブンで有名なバヌアツは便宜置籍船で漁業を行う国家でもある。 最近は中国の支援でサント島に港湾ができ、軍事利用が懸念されて…

水産改革:漁師さんと水産庁とお魚と

安倍政権で進められているのが水産改革だ。 戦後の日本の漁業体制、ステータスクオを変革しようという大きな動きである。 専門分野でも研究対象でもないのだが、海洋法と大きく関わってくる。 気になっていたのだが、神戸で説明会があるというので台湾のY博…

太平洋漁業局のトップはトンガの女性博士に

www.islandsbusiness.com 第8回島サミットの宣言にも詳細が盛り込まれたように、日本と太平洋島嶼国を結ぶのは「漁業」である。 太平洋側の代表的地域組織がFFA, Forum Fisheries Agency. ソロモン諸島にある。豪州の海軍が牛耳っている、側面もある。 その…

国交省と水産庁が歩み寄る日が来るのか?

「水産庁と仲のいい君は新しい事業に入れないよ。日本財団から大きな金をもらって魚の事業をやるんだよ。日本財団は水産庁を批判する立場だからね。」 笹川平和財団前会長羽生さんから言われた言葉。 羽生さんが何者か知っている私でも驚いた。このレベルの…

お金持ちやセレブは環境問題のプロか?

世界のセレブとビリオネラー。詐欺集団にしか見えません! 海洋問題を積極的に発信しているので、多くの質問をいただく。 下記はなんでロックフェラーが日本の漁業に口を出すのか?と質問をいただいて知った記事である。 東京五輪に向けて問われる「食料調達…

ポール・アレンのフェイクな試みとパラオの水産資源

SkyLightというフェイクな違法操業監視技術に40億円出したマイクロソフト創業者 マイクロソフトの共同創業者ポール・アレンが40億円位を投資して、空から違法操業取締をする技術開発をする、とのこと。 そしてこれを昨年のマルタの国際会議で発表したのだ…