八重山諸島で開催した「やしの実大学」事業のおかげで多くの方とお会いする機会に恵まれた。
大城先生は、どこかで「やしの実大学」がご出身の鳩間島で開催される事を知り、一般参加者、即ち自費で参加いただいた。
やしの実大学事業を企画する中で、琉球大学との連携も検討したので、御参加いただけた事は嬉しかった。当時琉球大学は沖縄の離島をあまり顧みず、八重山諸島の方達は琉大との協力に前向きではなかった事を記憶している。
鳩間のやしの実大学に御参加いただいた大城教授に、半分冗談で「大城先生、いつか琉大の学長になってください。」と言った事を覚えている。
<離島を向く琉球大学>
本当に大城先生が学長になられて驚いたが、それ以上に驚いているのが、離島へのサービスを展開されている事だ。サテライトキャンパスで、現在那覇、宮古、石垣、久米島にキャンパスを設置。働く人のためのイブニングコースなどもある。
「やしの実大学」事業は八重山諸島での公開講座とウェッブでの情報発信の二本立てで行ってきた。ICTで離島を結ぶ、というのは当方の博論のテーマでもある。
詳細はこちらに。http://ryudaicoc.jim.u-ryukyu.ac.jp/
これ以外にも離島問題を解決するため、離島出身学生のための医学大学優先枠などさまざま事業を大城学長は展開されているのである。
<島のイニシアチブ>
ご多忙の大城学長にお会いする機会をいただいた。話は色々な方向に展開したが、やしの実大学を再開したい、と当方が言ったところ「あれは地元主導の良い事業であった。」と言っていただいた。
そうなんです。財団からは大きな枠組み、即ち島で島を考えるという事と、基金の性格上島とは太平洋の島であるという縛りだけで、後は地元に実行委員会を設置し、コンセプトから何から何まで自分達で考えていただいた。だから、時間もかかったし、手間もかかった。
「やしの実大学」は、3日間の公開講座だけではなく、その前後の活動の方が大きかったのだ。
所謂島嶼専門家の「島はかわいそうだ」という態度に辟易し、これでは何も生み出さないという思いがあった。当時、鶴見和子氏の「内発的発展論」(これも後藤新平のようだ。今度書きたい。)に傾倒していた当方は、東京から抜け出さないとだめだ、と思っていた。
<矢内原文庫と大城学長>
当方が博論にアマルティア•センのCapability Approachを応用しようと思ったのは大城学長の影響も大きい。今回その事や、後藤新平、新渡戸稲造、矢内原忠雄の植民論についても議論させていただいた。
うっかり忘れていたが琉球大学に矢内原文庫というのがあるのだ。これをアレンジしたのは大城学長であった、という。これも驚いた。
「先生、矢内原と新渡戸の植民論はスミスの国富論にある植民に依っているんです!」
センの開発論もスミス、なのである。
もうこなると止まらない。大城先生は今学長だぞ!と自分の理性が自分に言い聞かせているのだが、知性にアドレナリンが合体してしまう。スミスの墓参り計画まで話してしまった。
「写真送ってくださいね。」と言っていただいた。
詳細はココ「矢内原忠雄文庫について」