やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

台湾ー八重山ー沖縄

小田 滋著 ー 主権独立国家の「台湾」 : 「台湾」の国際法上の地位

小田 滋。主権独立国家の「台湾」 : 「台湾」の国際法上の地位 : (私の体験的・自伝的台湾論) 日本學士院紀要 2007 年 62 巻 1 号 p. 43-68 海洋法の大家、小田滋先生が台湾論を、しかも「主権独立国家」とうたった論文を書いていらっしゃる。何気に読み出し…

台湾コロナ対策は普通の情報収集の結果

台湾外相がコロナ対策を説明したハドソン研究所のサイトを紹介した私のブログが2300回以上FBでシェアされ、1万回はアクセスされている件。 このブログを紹介してくれたインテリジェンスの専門家、江崎さんの影響か台湾政府がヒューミントを武漢に送っている…

コロナフリーのNZは台湾との関係を強化すべし!

www.stuff.co.nz 対中共姿勢を明確に示すニュージーランドのブレイディ教授のオピニオン記事。 2017年、彼女がウィルソンセンターで発表した論文マジックウィポンが、世界の対中の議論の流れを変えた、と言っても間違いではない。 www.wilsoncenter.org 初期…

台湾のコロナ対策が成功した理由と中共の情報戦

4月9日、ハドソン研究所でおこなわれた台湾 Joseph Wu 外相スピーチ。最初の15分くらいが外相のスピーチです。そこだけでも聞くことを強くお勧めします。 台湾は12月から既に武漢でのコロナに気がつき武漢に専門家を派遣。しかし中国政府から協力を得ら…

矢内原忠雄の帝国主義研究(3)全集2巻

矢内原全集第2巻は「あの」『帝国主義下の台湾』が入っています。 この論文を読むのは3回目。 最初は兎に角読んでみよう、と。 2回名は若林編集の『帝国主義下の台湾』精読を読んで目が点になって、再読。 そして今回。 今回は帝国主義に限って読んでみた…

ソロモン諸島を巡る中台の情報戦!日本は無関心でいいのか?

いよいよソロモン諸島が台湾から中国に鞍替えしそうで、まさに今、情報戦が交わされている。日本は全く関心がない!誰も話題にしていない!それでよくまあ台湾を支援なんて言えますね。 と文句を言っていてもしょうがない。一人でも粛々と情報を収集し発信し…

日本はセンチメンタルな植民者か?

日本統治時代の朝鮮の教科書 というサイトがある方のFBで紹介されて、日本人は「センチメンタルな植民者」であるとのコメントがあったので、これは新渡戸の植民政策を学んでいる者として聞き捨てならぬとセンチメンタルと思う理由を尋ねた。植民地の人民を日…

『天皇家150年の戦い』江崎道朗著

海外での学会を控え手元にあったこの本をじっくり読むことはできなかったが、先日京都の大原散策に持って行った。三千院の隅で山から流れる涼しい風を受けながら読むことができた。 誰かが、江崎さんの本を読むと色々と気づかされることが多く、考えが広がっ…

日本を悪者にする日本政府とパラオのフェイク海洋保護区

パラオがその80%のEEZを禁漁とする海洋保護区法案に動き出したのが2008年。私はそのアイデアをレメンゲサウ大統領から直接聞いた最初の人間だ。 まさか国交省、海保、日本財団がこんなに海洋音痴とは当時は知るよしもなく、その案を押し進めようとする笹川…

台湾関係法40周年CSIS会議 ー 台湾は米国より日本が好き!

www.youtube.com 昨日から見ている、台湾関係法40周年をめぐるCSISの会議。4:01:00 あたりから必見!BI-KHIM HSIAO議員の質疑応答で、日本と台湾の特別な関係を控え気味に語っている。ちょっとアメリカがかわいそうなくらい。。 台湾人が一番好きな…

台湾関係法40周年CSIS会議 ー Gerald Connolly議員

4月10日に開催された、CSIS主催の台湾関係法40周年記念講演。 8時間もあるから少しづつ見ている。江崎さんからよくそんな暇があるなあ、と。。だって誰も見てないよね。私が見ずに誰が見る! Gerald Connolly議員。これも必見。4:07:00 あたり。 Co…

パラオへの監視提供与の問題点

islandtimes.us パラオは豪州と日本財団から海洋警察に船が贈与されているがどれも、離島の緊急要請に対応できず、民間の船が救助に向かった。 これはパラオ海洋警察のせいではない。日本財団、国交相の造船利権、天下り利権である。私は目の前で見て来たの…

一つ目の博論と秋篠宮殿下のお言葉

2つ目の博論を始めるきっかけの一つが空海だった。 1つ目は? 秋篠宮殿下のお言葉である。 青学の渡辺昭夫先生の下で2つ目の修論を国際政治学で、太平洋の情報通信と日米関係をテーマにまとめた後だ。博士をやらないとダメだと強く押してくれたのがハワイ…

NZ海洋監視チーム台湾船舶の奴隷ビジネスを摘発

www.stuff.co.nz 摘発された台湾の船Daiwan Justice ニュージーランドの海洋監視(Maritime NZ)により4ヶ月給料を支払っていなかった台湾の運搬船Daiwan Justiceが、ニュージーランドのLytteltonで摘発された。 ニュージーランドのMaritime NZ は国際運輸…

日台安全保障協力の可能性ー産経原川貴郎記者も気づかない奥の手

www.sankei.com 台湾の蔡総統が日本に安保対話を要請してきた。これに対し産経の原川貴郎記者が高度な政治判断が必要で、日本政府が蔡総統の要請に応える困難さを指摘した。 special.sankei.com 産経原川貴郎記者も気づかない奥の手がある。 まず基本的理解…

後藤新平の植民政策(9)

中村哲氏の解題が掲載されている『「日本植民政策一班」「日本膨脹論」』は日本評論社から戦争のまっただ中の昭和19年12月に出版されている。 中村哲氏の「序」の日付は昭和19年9月1日。その下には「台湾同胞徴兵制実施の日にあたって」とある。一体中村哲…

台湾の阿Q博士への回答(3)

阿Q博士「私はオーストロネシア諸国の事を知らない。」阿保博士「オーストロネシア諸国、というのはないんです。あるのはオーストロネシア語族! それに知らない事を知っている事こそ賢者の証。悲観されるどころか名誉に思ってください。」阿Q博士「阿保博士…

台湾の阿Q博士への回答(2)

阿Q博士「で、実際のところはどうなんですか?」 阿保博士「実際って、あなた政治学者でしょう。政治の「実際」を定義せよ。」 阿Q博士「そんな意地悪言って。オラパが中国に乗り換えるかどうか、実際の話が聞きたい。」 阿保博士「外交の実際って何なんです…

台湾の阿Q博士への回答(1)

笹川陽平氏に嘘つき呼ばわりされてすぐに日本の国会議員から話を聞きたいと2度も声をかけていただき、第8回島サミットに海洋安全保障とインド太平洋が明確に入る一つのきっかけをいただいた。 これだけでも十分なのに、今また某国政府の外務省から内部研究…

台湾・マーシャル諸島 海上保安協力協定締結

台湾のコーストガードが2018年6月21ー27日マーシャル諸島を訪問とのニュース ROC (Taiwan) Coast Guard Patrol Vessel Hsun Hu No. 9 visited RMI 2018-07-10 https://www.taiwanembassy.org/mh_en/post/823.html 続いて7月にマーシャル諸島のヒルダ大統領…

日華懇会長古屋議員の提案:日台協力による太平洋諸国支援

これはFBで書いたのだが、ブログに残しておきたい。 超党派でつくる議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇)の会長古屋議員が台湾を訪問された事は知っていたが下記の内容は知らなかった。 「古屋氏によると、蔡氏は安全保障面で中国の動向に懸念を表明した。…

日米協力で台湾と西太平洋を守ろう!

先般のエルサルバドルと台湾との外交断絶。米国共和党議員が台湾から離れようとする国をこれ以上出さないような方策を検討する、という。 www.reuters.com jp.reuters.com ここに来て米国が中国の本当の姿に気がついて、台湾を守ろうとしている、という風に…

パプアニューギニアに圧力をかける中国(追記あり)

PNG accused by Taiwan of bowing to Chinese pressure 14 February 2018 https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/350423/png-accused-by-taiwan-of-bowing-to-chinese-pressure (日本語のニュースもありました) 在パプアニューギニア公館…

A Weapon Without War: China’s United Front Strategy

数日前に出された下記の論文は面白かったのでブログにメモしておきたい。 中国べったりのオーストラリアとニュージーランドが昨年あたりから、急に警戒感を高めたのだ。何があったのか? この論文ではまさに民主的でオープンな先進国がみずから招いた結果、…

パラオと台湾の絆

FBにはどんどんきになるニュースをシェアしているのだが、ブログに書く時間がない! まずは在台湾のパラオ大使の短いインタビュー記事。 中国と台湾の間で揺れているように見えるパラオ。 中国政府がパラオへの団体観光客制限をしたことで、すなわちパラオー…

『日本語「形成」論 日本語史における系統と混合』崎山理 著

蔡総統の太平洋島嶼国訪問。朝日新聞が大きな紙面で報告しているが、米国との関連が一切触れられていなことを以前のブログで指摘したが、もう一点書かれていない事がある。 蔡総統がこれでもか、これでもか、というほど強調したオーストロネシア語族のつなが…

台湾関係法

蔡総統の太平洋島嶼国訪問をフォローしこのブログに上げてきた。 読んでくださっている方がいて、しかも某省の安全保障担当官でわざわざ昨日出た朝日新聞の記事を教えてくださった。 「朝日に書いてあることは、早川先生のブログに書いてあることばかりです…

蔡総統の太平洋諸島訪問(15)オーストロネシア語族は台湾海峡を渡ったか?

蔡総統が太平洋島嶼国を訪問した際、演説中で強調していたのが台湾と太平洋島嶼国を結ぶ「オーストロネシア語族」の存在。 4、5千年前台湾辺りを出立し、太平洋とインド洋、即ち西はマダガスカルから東はイースター島、南はハワイ、北はニュージーランドま…

蔡総統の太平洋諸島訪問(14)中米台日の声

先週は蔡総統の太平洋訪問を追ってみた。 やはりこうやって公開で書くと色々な方が見ていただいているようで、さらなる情報を頂く事ができる。まずは米中の真っ向から対立する記事2つ。 今回の蔡総統のホノルル、グアムを含む太平洋訪問を強く批判する記事…

蔡総統の太平洋諸島訪問(13)グアム訪問の真相

下記のTaipei Timesで蔡総統のグアム訪問の真相を台湾政府李大維外相(Minister of Foreign Affairs David Lee) が語っている。 Sat, Nov 04, 2017 Guam governor welcomes Tsai with fanfare, reception http://www.taipeitimes.com/…/taiwan/a…/2017/11/0…