やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

日本の台湾研究者が知らないオーストロネシア語族、そして後藤・新渡戸

このブログのおかげで広く知識や情報を共有させていただく結果となった。

その中でも、台湾との繋がりが最近出て来た。

特に台湾原住民の事である。

台湾の蔡政権が国内の原住民(オーストロネシア語族)に重点を置いている事と、

そのオーストロネシア語族が多く占める太平洋島嶼国と台湾の外交関係が、中国大陸寄りの前政権と比べ活発になりそうな様子がある。

ところが日本の台湾研究者はオーストロネシア語族の事をほとんど知らないようなのである。

オースとロネシア語族と言えば、人類最強の植民者である。東はイースター島から西はマダガスカルまでを航海技術で2、3千年前に征し、現在世界に存在する言語の50%をオーストロネシア語が占める。

数千キロの海を行ったり来たりしている。南米まで言ってさつま芋を持って帰って来た。

日本では台湾国内の原住民問題も殆ど理解されていないようなのだ。

400年ほど前、中国植民者によって虐殺され東部の山奥の追いやられた。

100年前の日本の植民で首狩りが禁止され、教育、医療、経済活動が勧められた。

これをやったのが後藤新平新渡戸稲造だ。

だから後藤、新渡戸を知らずに日台関係は語れないはずなのだ。

しかし、日本国内の後藤、新渡戸研究はあまり進んでいない現状があるので台湾研究者を攻められない。

特に両者の帝国主義的、植民主義的側面は戦後意図的に矢内原などによって改竄されてきたのだ。

戦後の台湾原住民政策はどうであったか?教育や就労の機会は平等ではなかったようだ。

蔡総統が、台湾政府として初めて原住民に謝罪し、今後保護政策を活発化する事を明言した。

貧しい原住民は国民党との繋がりが強い、と台湾の方から教えていただいた。

Tsai formally apologizes to aborigines

http://m.chinapost.com.tw/taiwan/2016/08/02/474150/Tsai-formally.htm

この蔡政権の原住民対策が、対太平洋島嶼国政策とどのように結びつくか?

台湾原住民の中には、日本にも謝罪させろという意見もでているのだ。

高金素梅さん、色々背景がありそうです。)

少数民族出身の台湾立法委員「日本にも謝罪させよ」、蔡総統に呼び掛け―台湾メディア

Record china、2016年8月2日

http://www.recordchina.co.jp/a146469.html