やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

クリントン国務長官のクック諸島訪問と米国の太平洋の世紀

 (良くも悪くも、)米国がアジェンダとする事は世界のアジェンダである。

 (良くも悪くも、)米国がアジェンダに取り上げない件は世界のアジェンダではない。

 これ、笹川太平洋島嶼基金の第2代運営委員長にして、当方の師でもある東京大学名誉教授渡辺昭夫先生の弁である。

 よって、

 良くも悪くも、米国の太平洋島嶼国進出は当該地域の変化を意味する。

 何度も繰り返すが、クリントン国務長官クック諸島で開催された第43回PIF総会に参加し、具体的支援案を示した意義は大きい。

 なんせ、米国が太平洋に戻って来ると言い出して3、4年。皆、なんで?なにする気?核実験?戦争?とドキドキ、ワクワクしていたのだ。

 やはり米国はさすがである。その間、キャンベル国務次官補は2回もアイランドホッピングの旅にでかけ、主要パートナーである豪州とニュージーランドとの調整を時間をかけ行い、冷戦終結後一機に引き上げた太平洋島嶼国の大使館を再開、増設、増築、改築。USAID事務所までも新設。我らがフランキー・リード大使始め優秀な女性の幹部に入れ替え、トンガ国王国葬にもオバマ大統領の代理を立てる気配り心配りをし、島に無関心だった東西センターの理事を総入れ替えまでした。

 日本は?。大洋州課の飯田課長が多分孤軍奮闘し、今年開催された第6回島サミットに初めて米国を招聘した。(当方の意見を聞いていただき感謝する。)

 2012年8月31日に発表されたU.S. Engagement in the Pacificは、冷戦終結後の過去20年、殆ど太平洋島嶼国を顧みなかった米国が知恵を絞って、国家間、省庁間のせめぎ合いを縫って(多分)編み出した支援策である。

 シャングリラ会議でパネッタ国防長官が明らかにした太平洋への軍事シフト50vs50から60vs40の話は微塵たりとも出て来ない。しっかり鞘に納めている。

 米国が拡張時代に編み出した奇策ー鳥のウンチ法で獲得した環礁、島々が太平洋にある事も、ミクロネシア3国を戦略的列島線と位置づけ、国連の本来の自由連合とは全く正反対の協定でがんじがらめにしている事も一言も出て来ない。まあ、当然だが。

 予算配分や支援事業内容をよく眺めると、国務省国防省の、即ち東西センターとPACOMのせめぎ合いみたいのも見れる。

 環境、気候変動、安全保障というメインの支援策には国防省とPACOMが絡むが、国務省と東西センターが主体となってアレンジしている女性問題は流石にPACOMは絡まないようだ。

 日本にとっては米国との関係を調整する機会である。この米国の太平洋での動きに積極的に関わって行くべきである。

 良くも悪くも、太平洋に紛争はない。非軍事分野での協力が主となる。

 日米関係は、太平洋戦争で形作られたのだから、太平洋でまた作り直せばよいのである。