やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

United States Inspection Vessels for WCPFC Boarding and Inspection Activities

 段々軍事オタクになりそうで「怖い」。

 以前ご報告した「米国が守る太平洋のお魚」。

yashinominews.hatenablog.com

当方が米国に足を踏み入れた日に59隻が新たに登録申請されていたWCPFCのHSB&I。その船の実態が写真付きで公表されている。下記のpdf

 米国が登録する船舶は全部で76隻。中国はゼロ。日本は2隻。

 76隻の内、米国沿岸警備隊の船舶が19隻(25%)米国海軍が57隻(75%)とやはり海軍が圧倒的に多い。これが太平洋の公海における違法操業を監視することになる。もし申請した日から60日間内に誰も文句を言わなければ、だが。

 いや、違法操業監視の名目で太平洋への軍事力シフトが行われる、と理解していいだろう。

 

 USA-WCPFC-HSBI-Request-Vessel-Picutures-Enclosure-1-5.pdf

United States Inspection Vessels for WCPFC Boarding and Inspection Activities

 

 EEZと領海は沿岸国の島嶼国とシップライダーズ協定を締結しているので島嶼国の法執行官を乗船させれば公海からそのまま乗り込めるし、ミクロネシア3カ国は自由連合協定があるので立寄自由。他に米領サモアも、多分トンガも軍事協定を締結し立寄自由にした可能性が高い。ダーウィンも我が物顔だし。

 

 海軍の船には必ず沿岸警備隊かNOAAの法執行官が乗船する。南北戦争の遺産、ポッセコミテタス法がかろうじてwarshipとlawship、civilとmilを区分している。

 

 全船舶のコミュニケーション手段はVHF, UHF, HFである、という点はよく認識しておいた方がよい。