日本の対太平洋政策と言えば次の三本柱
1.漁業政策
3.国連等での支持票獲得
最近はこの3本柱に気候変動が加わった。
この中で漁業問題は何が何でも、絶対関わりたくなかった。(理由は最後に書きました。)
しかし、ミクロネシアの海洋安全保障事業が開始して、ナウル条約とニウエ協定とか、勉強せざるえない状況に追い込まれた。さらにここ数週間、水産庁の臨時職員になったような気分でオンザジョブラーニングをさせていただいています。
日本の水産行政がボワッと見えてきたように思うと同時に、魚を見る度に水産行政を巡る国際関係、感情的環境NGO等々が頭に浮かんできて、素直に食べられない。
<違法操業監視は日本が主導>
きっかけは水産庁の宮原さんなのであるが、具体的にはまだ書けない。晴れてこのブログでご報告できる日が来る事を祈っている。
日本の水産庁は取締船を6隻もっていて、他に民間から30隻位チャーター。加えて飛行機もあるそうで、これは世界的にユニークな、いや水産庁の存在自体が世界的にユニークなんだそうである。
例えば豪州海軍が展開する太平洋のPPBP。30年近くやって、燃料や人員がなくて機能していないとやっと気づいた。餅は餅屋ではないが漁業を知らない海軍は違法操業を取り締まれない。豪州海軍は「魚を追いかけるのは我々の仕事ではない」とまで言っていた。
ところが、2008年頃PPBPの中止を思いとどまらせる事件が。笹川平和財団がミクロネシアの海洋安全保障事業を開始すると聞きつけ、慌てて(発展的)継続を決めたのだ。
しかしながら、もし燃料も人員も完備されたとしても160トンクラスのPPBは追跡型なので、違法操業対策に完璧ではない。
水産庁の取締船は500〜2000トンの大型船で、プカプカとアヒルのように海に浮いて、監視、取り締まっているのだそうである。その代わり追跡や銃撃戦はできない。
だから両方必要。
水産庁の取締船。これをやっているのは世界でも日本だけ。韓国、中国が真似をした、とのこと。
世界中、違法操業監視なんてどこもやっていないらしい。。
<船も色々、値段も色々>
水産庁の職員の皆様には素っ頓狂な質問をさせていただいているように思います。
例えば船の値段の事だ。
豪州のパトロールボート、一隻30億円位するそうである。今豪州政府お金がない。継続を決めてもお金をどうするかが頭痛の種。水産庁の取締船は二千トンクラスのもある。
「160トンクラスで30億円なら、2千トンクラスだと300、400億円ですか?」
回答、20億円もあればできるのだそうだ。なんで船が大きくなるのに値段は安くなるの?(私の誤解かもしれません)要はベニヤで済むところをチーク材にするか、最新機材を入れるか入れないか、等々で船の値段はいくらでも変わってくるのだそうです。
魚の事も船の事もわからない事ばかりである。
<2つの庁が守る世界の海>
海上保安庁と水産庁。海上自衛隊が手足を縛られている状態の中、日本の海、いや世界の海を守って来たのはこの2つの庁である。戦後安全保障レジームが産んだ、日本固有の海洋安全保障秩序。米豪も自分たちで縛っておいて、日本の状況がまるっきりわかっていない。
ミクロネシア海上保安事業が開始した当初は右も左わからず、「なんで民間団体が海洋安全保障やるの?」と米豪の軍事関係者に怪訝な顔で聞かれても答えられなかった。米国沿岸警備隊はさすがに海保の存在を理解しているが、民間団体の存在は特殊なようだ。
最近は「それはあなた方の戦後政策の結果です。」と戦後から説明している。
水産庁は、国際枠組みで漁業資源が管理される中、日本の国益だけでなく、漁業資源に頼る多くの途上国の利益も守りながら国際的漁業政策を主導しているようである。それを宮原さんがやっていらしたのだ理解している。
(参照「国際交渉官が語る 世界の中の日本の役割」http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1001/spe1_05.html)
<ステテコおじさん>
ここから先、どうでも良い話です。
何がなんでも魚の事はやらない、やりたくない、と誓った事件がある。
太平洋、広いようで狭い。援助関係者によく会う。
キリバスで会ったOFCFの叔父さん達。同じ飛行機に乗った。彼らはビジネスクラス。
エコノミークラスの私が搭乗した時、ちょうどその時、その叔父さん達が服を脱ぎだしてステテコ姿になったのである。
スチュワーデスさんは凍り付いていた。本当に硬直していた。
周りの空気も凍っていた。私は当分ショックで、後々まで一言いうべきだっただろうか、と悩んだ。
気持ちはわかる。私も靴を脱ぎますからね。
人生は思い通りに行かない。今は水産行政の核心にどっぷり漬かっているような気がする。