やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオのEEZ商業漁業禁止案に関するガーディアンの記事

またまたパラオですみません。

が、ガーディアンがパラオEEZ商業漁業禁止案に関してバランスのいい記事を書いているので簡単に紹介しておきたい。

Palau's plans to ban commercial fishing could set precedent for tuna industry

The Pacific nation wants to conserve fish for its economy and marine reserves. How will this impact the fishing industry?

theguardian.com, Wednesday 26 March 2014 18.15 GMT

http://www.theguardian.com/sustainable-business/palau-sharks-ban-commercial-fishing-tuna-industry

まずはAmerican Tunaboat Associationのexecutive director,Brian Hallman氏の見解。

「全く科学的根拠がなく、回遊魚のマグロの管理は国際管理でやるしかないし、もうやっているんだ。」

PEW財団のMatt Rand は

「海洋保護以外にも経済的効果も望め、世界的海洋保護活動の中でも先見的。」

このMatt Randよく知っている。PEW財団は豪州のビリオネラーと並ぶ軽薄短小、無責任な自称環境保護、と私は認識している。この事は苦い経験と共に別の項で書きたい。

それからちょっと驚く発言がNOAAのMichael Tosatto

「僕国務省じゃないからはっきり言えませんが、米国がパラオの拠出している支援金(自由連合協定の事)。米国のマグロ船まで追い出したらその支援にも影響するんじゃないの?」

この発言にはレメンゲサウ大統領キッパリ答えている。「小国の海洋保護活動を、米国が報復するような事はしないと信じている。」そりゃそうでしょう。NOAAのMichael Tosattoさんの発言。本音かもしれないが、外交センスゼロ。NOAA大丈夫?

何はともあれ、このガーディアンの記事はそこら辺の無知な、話題集めのメディアに比べてバランスが取れていると思う。

そして、何はともあれ、人口2万人の小さな島の大統領のラディカル発言が世界を動かしている事は間違いない。