やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

政府開発援助(ODA)大綱の見直しについて

ODA大綱見直しに関する有識者懇談会報告書

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/kaikaku/taikou_minaoshi/files/yusikisya_report.pdf

結構島と関係ある。

以下、気になる箇所の抜粋だけ。下線は筆者。

飛躍的成長を遂げる新興国を筆頭に、多くの開発途上国で所得水準の上昇が見られ る一方で、国内格差や持続可能性の問題、いわゆる「中所得国の罠」等の開発の進展 に伴う課題や、島嶼内陸国等の抱える特別な脆弱性の問題等、現在の開発課題は、 一国の平均的な所得水準のみでは計れない、新たな、そしてより複雑なものとなって いる。

また、島嶼国を始め、ある程度成長しても、各種の脆弱性や開発課題を抱える国々 は存在する。資源国や中所得国の罠に苦しむ国もある。これらを踏まえれば、所得水準等の基準を機械的に適用することをせず、それらの国々の開発ニーズにできるだけ 広く、きめ細やかに対処していくことは重要であり、

(ア)非軍事的手段による平和の希求:ODAは、平和国家として世界の平和と繁栄 に貢献してきた我が国の最大の外交ツールであり、非軍事的手段により、国際 社会の平和と安定の維持・強化に資するべきもの。よって、ODAの軍事的用 途及び国際紛争の助長への使用を回避するのは当然である。ただし、現代では 軍隊の非戦闘分野での活動も広がっており、民生目的、災害救助等の非軍事目 的の支援であれば、軍が関係しているがゆえに一律に排除すべきではなく、そ の実質的意義に着目しつつ、効果・影響等につき十分慎重な検討を行い、実施 を判断すべき。

平和、安定、安全は国造り及び発展の前提条件であり、そのための協力を積極的に 行う。この観点から、現大綱の「平和の構築」からスコープを広げ、国際社会の安定・ 安全に関する課題への対処(海上保安能力を含む法執行機関の能力強化、テロ対策、 国際組織犯罪対策、サイバー・セキュリティの強化等)を広く扱う。