日本に復帰しなかった旧南洋ミクロネシア地域。
米国に留まった北マリアナ諸島。
米国との自由連合下で独立したパラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島。
しかし、冷戦終結と共に米国の、特にワシントンD.C.の太平洋への関心は薄れてしまい、自由連合協定で約束された毎年の交付金は2023年でストップしてしまう。将来への対応策はほぼないに等しい。これが今ミクロネシア3国の人々に不安を与えている。カジノ、分離独立、環境保護の美名の下の信託基金設置 etc.
沖縄も日本に復帰せずに米国に留まっていたらどうなっていたか?
ミクロネシアの知人、友人に、沖縄は毎年6千億円もらっているよ。ミクロネシアも日本に復帰したら?と提案する事がある。
パラオは米国との自由連合協定締結協議の際、日本との提携を希望したグループもいるらしい。勿論相手にされなかったようだが、正しい選択だったと思う。
<ザル経済>
石垣新空港ができ、観光客が40万増え、年間110万人となった石垣。八重山毎日新聞の上地顧問は、本土企業が蔓延り、ザル経済だ、と指摘する。
今回宿泊したホテルも東京資本。以前は地元の方がやっていたホテルを全面改装し、おしゃれで、南の島のイメージだ。従業員は日本各地から来ているようだ。
本土から来て小規模店舗をオープンする人たちは、結構すぐ閉店して帰ってしまうらしい。
問題は、島のルール、例えば観光協会に加盟せずにおいしいどこ取りだけする営業。
町に、島に裨益する企業理念が必要なのであろう。
<島の良さ再発見>
日本復帰によって、本土の影響が一気に強まった。その事に対する懸念は?
石垣に住む60代の男性は、島は元々チャンプルー文化、多文化社会であった事を指摘した。
八重山は特に移民の島である。
それに、本土の視線があったからこそ、自分たちが気付かなかった島の良さが再発見されたという。
そう言えば、観光客は「癒し」を求めて南の島に行く。
本土並みに開発されたら「癒し」の空間はなくなってしまうかもしれない。
<50代以下の自衛隊支持>
多くの方から聞いたのが、50代以下、即ち中山石垣市長(48歳)の世代に危機感がない、という事だ。今の50歳前後は日本復帰の頃、即ち1970年代前後は10歳位だった。復帰運動は肌で感じている程度であろう。その上の世代、1970年前後に10代後半から20代、30代を過ごした世代は、特にベトナム戦争時代の荒れた米軍の様子を見ている、もしくは経験しているはずだ。
この記憶の違いが、米軍や、自衛隊へのアレルギーと関係しているのではないだろうか。
<植民地化>
(ここで言う植民は新渡戸、矢内原忠雄がいう「一社会現象」の意味で、広く認識されている搾取、奴隷化etcの植民ではない。)
本土からの開発インフラ支援、本土企業の進出。
八重山は植民地が進んでいますね、と半分冗談で言ったら、八重山のあるビジネス幹部が「本土の人はよく働くからしょうがないのよ。」
そう、南の島では勤勉が美徳、という価値観があまりないような気がする。
時間もアイランドタイムでテーゲー。
それが小さな閉ざされた社会で衝突をさける知恵、なのかもしれない。
勤勉なのは、水がない厳しい環境の離島出身者である。太平洋島嶼国でも大統領になるのは離島出身者が多い。
新渡戸の植民論にアレキサンダー大王の北インド植民の話が出て来る。
インドを植民地化したギリシャ文明は、逆にインド文化の影響も強く受けた。