アマルティア・センの学会で興味深かった二つのキーノートがある。
その一つはコーネル大学のRavi Kanburのキーノートだ。
彼はセンの学生でもあり、世銀で「貧困とグローバリゼーションを扱う世界開発レポート」の主筆もしていた。
Ravi Kanburのウェッブサイト
http://www.kanbur.dyson.cornell.edu/
キーノートのテーマは"Citizenship, Migration and Opportunity"である。
発表のパワーポイントが下記のある。
http://www.kanbur.aem.cornell.edu/papers/Citizenship%20Migration%20and%20Opportunity.pdf
MDGはあまり興味がないのだが、これが成功した理由は中国とインドの経済成長のおかげで、アフリカは達成していない。しかもインド、中国の国内格差はより深刻になっている。
インドは他国に援助もしているし、武器の購入もしている。最初のテーマはShould India Get Development Assistance?だ。
次が移民の話。移民をどの程度受け入れるべきか?受け入れた後の多文化対応は?この問題に関してCapabilityの観点からの議論が殆どない。私はこの問題「植民」をいう視点でスミスが論じているローマ、ギリシャ時代から、できればオーストロネシア語族の植民も含め議論してみる事に興味をもっている。今回の学会開催中、何度かスミスの国富論にある「植民」の章の話をしたが誰も知らなかった。
最後が機会と市民権。
世銀と言えば、お馬鹿な漁業政策を太平洋島嶼国に吹き込んだ組織と当方は軽蔑しているのだが、このRavi Kanbur氏は世銀の過去の手法に逆らった報告書を書いたため、辞任に追い込まれたらしい。
世銀の存在自体をCapabilityで論じてみてはどうであろうか?