アイリッシュの詩人イエーツと能研究者小林静雄
娘のご先祖様の一人にアイルランドの歴史的人物がいる事を知ってから、興味も関心もなかったアイルランドが急に気になって来た。 昨年初めて訪ねたアイルランドは「イースター蜂起」100周年でイエーツの詩が町の中に大きく飾られていた。
ノーベル文学賞受賞者でもあるイエーツの存在を初て知り、彼が「鷹の井戸」という能作品を作り、伊藤道朗が演じていた事も知った。 急にアイルランドと日本が繋がって来た感覚を得た。 イエーツの「鷹の井戸」が逆輸入されて「鷹姫」というお能になっている事を知ってからいつか観てみたいと思っていたが今日その日を迎えることができた。
このお能は、能研究者小林静雄への鎮魂歌だったのである。「鷹姫」の作者である横道萬里雄に「鷹の井戸」を紹介したのが小林静雄。しかし彼は35歳の若さで戦死する。横道萬里雄は作品の中に「小林」という歌詞を入れて鎮魂としている。 音楽的には八人の岩役が地歌を兼ね、コロス(ギリシャ語の合唱)形式にしたところか興味深く、新鮮であった。私は仏教がギリシャ文化も日本の持ち込んでいるので、音楽もギリシャに関係しているのでないか、と大原の勝林院で想像したことがある。
国際法的には、作品が絶海の孤島の岩という設定という点がすぐにUNCLOS121条の島の制度に結びついた。井戸の水が永遠に得られない老人とどこかの王子。二人に魔術をかけて水を独り占めする鷹姫は海洋資源をどんどん開発し取り上げていく海洋先進国か? 鷹姫が老人に井戸の水を分け与える事はないのであろうか? 鷹姫って資源分配の話では?