やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

阿川先生の米国研究とマルクス

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同志社大学には有名な先生が沢山いる。

2つ目の博士論文を書く当方にとって、博論とはつい世界を語りたくなる欲求を抑えなるべく視野を狭めてその関心分野の隅をほじくるように書くことが肝心であることを知っているために直接関係のない授業は取らないようにしている。

が、初年度は村田先生のハリウッドと米国政治を取らせていただいた関係で「セレブリティディプロマシー」という国際法に無縁でない分野が学問として成立している事を知った。特に国連との関係でだ。海洋法も同じだ。

2年目は、安倍政権の島サミットに関与した関係もあり「中国の脅威」「中国のインド太平洋進出」を知りたくなり、恐る恐る浅野亮先生の授業を取らせていただいた。梅本哲也氏の『米中戦略関係』を学び関連して気になっていたナヴァロも読んだ。これでかなり理解が進んだ。

3年目、米国理解として阿川尚之先生の授業に顔を出したところ、米国憲法史なのだが西洋思想が米国憲法史の背景という理由で(私の理解が間違っているかもしれない)なんとマルクスから入るのだ。

「マルクス」「共産主義」は学ぶべき分野と思つつもどこからどう手をつけて良いかわからず放っておいた。最初の教材は「共産主義者宣言」だ。なぜか同志社の図書館にはない!で、丸善で購入した。こんな薄かったの?(でも千円もする) なんだ、敬遠せずに読めばよかったと後悔した。

後悔はそれだけではなかった。最初の博論は開発学の理論を応用したのだが、開発学にもマルクスが影響していることがどこかに書かれていて(誰が書いたかも忘れた)脳裏に残っていたのである。マルクスは現在SDGsなどで議論される途上国問題や開発学を意識していたわけではないであろうが、現在の開発学はまさに共産主義イデオロギーなのだ。それがわかるのが「第1章ブルジョアとプロレタリア」手元にある平凡社ライブラリーの版では19ページの一節。

シュモラーのマルクス批判を書いた新渡戸は40年もすればマルクスは忘れられるだろう、と書いていたが、その40年後の現在、マルクスの共産主義はSDGsなどというわけのわからないイデオロギーとなって世界に広がっているのだ。

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