やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

読書メモ『ザンジバルの娘子軍』

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安倍政権のインド太平洋構想。

太平洋の事は30年近く関与しまあまあわかっているがインド洋はさっぱり。そこで郵便学者の内藤先生がクイーンのフレディがザンジバルの人であった事を話していて、ザンジバルとはどこか?と思い検索していたら見つけた本である。

「娘子軍」を「からゆきさん」と読むとは知らなかった。

インド太平洋を渡ったのは春を売る日本女性でもあったのだ。

なんと「からゆきさん」は南アフリカまで渡っている。しかも明治維新すぐに日本の移民が始まる前に渡っているのだ。そして第一次世界大戦で日本が南洋を統治するにあたって日本政府から取り締まりがあり、シンガポールを中心に栄えた春を売る商売は収束する。

この本を読んでいると「からゆきさん」はかわいそうなのか逞しく生きた女性なのかよくわからなくなる。面白い書評を見つけた。 「ジャックの談話室」というブログにこの本の書評があり、筆者の白石氏と出版社が左翼的に偏った視点で「からゆきさん」を書いているというのだ。

ザンジバルのからゆきさん(1) : ジャックの談話室

ザンジバルのからゆきさん(2) : ジャックの談話室

「からゆきさん」ではなく「娘子軍」と書いた意味も説明している。長くなりますが引用させていただきます。

「なぜ著者がよく知られている「からゆきさん」という言葉をそのまま使わずに、あまり知られていない「娘子軍」という言葉をあえてタイトルに使ったのか、
著者は、文中でからゆきさんを「日本の海外進出の尖兵」と呼んでいるのですが、柔らかい響きを持つ大和言葉の「からゆきさん」よりも「娘子軍」の方が尖兵を表すのに相応しいと思ったのでしょう。
からゆきさん研究の第一人者といわれている「サンダカン八番娼館」の著者で、フェミニストの山崎朋子はもっと露骨に、
からゆきさんを「日本のアジア侵略の先遣隊」と呼んでいるので、この著者もその見方を踏襲したと推察されます。」

外国人によく聞かれるのがゲイシャとヤクザ。

ヤクザは笹川良一さんの関係でよく聞かれた。社会のアウトローをフォローするシステム、位に説明していた。ゲイシャに関しては初代総理の伊藤博文の正妻がゲイシャさんであった事を言うことにしている。梅子さんは春も売っていたのであろうか?

実は太平洋島嶼にも春を売る伝統習慣があり、それは社会的なスティグマではない事に西洋人たちが驚いていた記述などがある。