やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

サモアの日付変更線が変わります

サモアの日付変更線が変わります

 5月10日、知らない間にサモアの日付変更線が移動されることが決まった。

 (追記:実際の運用は今年の12月から)

 太平洋のど真ん中を南北に横断する日付変更線。

 出張泣かせなのである。出発日の前日に到着とか、翌々日に到着とか。。。

 今回の出張のNZ-ホノルルーマーシャル諸島ーホノルルーNZと日付変更線を行ったり来たり。

 さて、サモアはなぜ日付変更線を変えたのか?

 WTOの貿易自由化が背景にある。

 サモアから飛行機で1時間ほどの米領サモア。ここに世界最大のツナ缶工場が2年前まであった。米領サモアサイパンは"Made in USA"製品を、安い外国人労働力を利用し生産。利益を得ていた。

 しかし、貿易自由化の波を受け、缶詰工場は完全に撤退。この工場の主要労働者は米領サモアではなく、お隣の独立サモアの人々だったのだ。

 独立サモアの経済を支えていたのが米領サモアのツナ工場というわけだ。

 ツナ工場がなくなった今、経済的つながりはNZ,豪州にシフトした。

 それで日付もシフト。

 同様に、独立国サモアは米国の中古車が多かったので右側通行だったが、これも2009年NZ豪州に揃えた。

 まさか日付変更線まで変えるとは。

 2000年を前にキリバス共和国も日付変更線を変えた。以前は国の真ん中を日付変更線が割っていた。ググッと東にずらし国内統一。

 つまり同じ経度のハワイとキリバスで同じ時間に日の出を見ていても、一日違う事になる。

 この日付変更線、wikiによれば、マゼランの地球1周でその矛盾が初めて問題に。

 地球がまるい事は当時まだ知られていなかった。