ニュースには下記のようなやり取りが書かれていた。
”陛下が「多くの日本人が住んでいたんですよね」と尋ねられ、大統領は「パラオと日本の文化、伝統、習慣がうまく融合し、今も残っています」と応じた。”
きっと急な質問で大統領わからなかったのではないか、と想像する。
自称大統領の私設スタッフとしては、しっかり調べてご報告しなければならないと思っていたら、矢内原先生の本にしっかり書かれていました。
少々長くなりますが、そのまま引用します。
”昭和八年四月一日現在の内地人人口三万三百五十人の中沖縄県人は一万七千五百九十八人であって圧倒的大部分を占め(約半分です。)、この他目立って多いのは東京府の二千七百三十三人、福島県の一千三百九十四人、鹿児島県の一千六十一人、山形県の八百七十六人等であるが、東京府人の大部分は八丈島小笠原島等より来り、鹿児島県人の大部分は之れ亦奄美大島其他南方諸島出身者が多い。即ち南洋諸島への移民の大多数は沖縄県を始めとして之等南方島嶼地方から出たものである。”
「南洋群島の経済」『経済』第一巻第四号、昭和9年7月)から
即ち、3万強の移民の内3分の2が、東京、鹿児島からの移民を全て島嶼と仮定した場合は71%が日本の南方諸島出身者という事だ。
沖縄 17,598人(58%)
東京 2,733人(9%)
鹿児島 1,061人(4%)
移民総数 30,350人
それではパラオの日本人はいかに?
これは大統領にも報告したいので英語でグラフにしました。矢内原先生の『南洋群島群島の研究』に詳細な統計がありデータはそこから取りました。
(クリックすると拡大します)
日本人人口の推移
パラオ人人口の推移
パラオ全体の人口推移
パラオでは日本人人口が13年間で約7倍と大きく伸びている。パラオ人の人口はほぼ横ばいだが、増加の傾向にある。他の日本統治の南洋諸島でも島人の人口は増加しており、日本の統治はうまくいっているとの評価をしている。それ以前は人口はどんどん減っていた。(但しヤップだけは人口が減少。)
割合では日本人は1933年の時点で約38%を占め、パラオ人は60%。
矢内原先生の論文にはこの日本移民の詳細についても述べられているが、特に注目すべきは沖縄移民であると、そして彼らが今に続く漁業を始めたとの詳細もある。