やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

トンガが中国に乗っ取られる、というのは誤報?

5月20日のTBSテレビ 【新・情報7daysニュースキャスター】 で、トンガが中国に乗っ取られる話が取り上げられてから、このブログのアクセスが昨日当りまで、毎日ずっと2千ページビューといつもの2倍になっていた。 

「中国にトンガが乗っ取られる」というのは、ポヒヴァ首相、即ち国家元首が記者会見という公式な席で言うような内容ではないので(例え本音だとしても)気になっていた。下記のニュースではあれはメディアの誤報である、と本人がコメントした、とのこと。

即ちトンガ人が働かないので、中国人に仕事が奪われる。これじゃあ数年内に乗っ取られるよ、という「警告」のような意味、ということだったようだ。

しかし、首相の意図と違う形で、現地メディアに取り上げられ、普段は太平洋の小さな島国に関心のない日本のメディアにまで取り上げられるという事は、ある意味、中国の進出が目立っているという受け止めることもできる。

Tonga PM Says Media Took Comments About Chinese Takeover Out Of Context

Wed, 05/24/2017

http://www.pireport.org/articles/2017/05/24/tonga-pm-says-media-took-comments-about-chinese-takeover-out-context

しかし、同首相は数日前には、トンガに中国人の殺し屋が入っているかも、と公の席でコメントしているし、中国から何十億もの支援を受ける太平洋ゲームは世銀のアドバイスを受けて辞退表明したし、周りのサモアやフィジーなど、中国との関係を強化している島嶼国と若干姿勢が違う様にも見える。

ともあれ、トランプ政権の米国始め欧州やインドも中国の一帯一路構想にメガティブな姿勢を示しており、太平洋島嶼国への影響もあるのではないか?と想像する。

人口10万人のトンガの犯罪数が年間5千件近いというのだ。中国のせいではないとしても、社会が病んでいる状態、は明らかである。

私的に大きく安心したニュースは、トンガのサイバーセキュリティがオーストラリアと協力して行われる、ということだ。昨年中国はインターネットに関連した協力をトンガに提案していたからだ。担当の副首相は当方の知人。 Siaosi閣下。

Tonga signs with Australia to manage Cyber Security

Thursday, May 25, 2017

http://matangitonga.to/2017/05/25/tonga-signs-australia-manage-cyber-security