やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

Raisina 2018 | Fragile World: Preventing a Scorched Earth ORF Delhi

キリバスとトンガの気候変動の話。

イエロージャーナリズムやイエローNGOが騒いでいるレベルと次元の違う議論である。

2:50 あたりから。

キリバスの気候変動と地政学の話である。

赤道上に位置するキリバスは以前、中国の衛星追跡基地があった。キリバスのすぐ北部のマーシャル諸島のクアジェリンには米軍のレーガンミサイル基地があるのだ。

キリバスは中国との外交関係を断ち、台湾との外交を樹立した国である。多分米国からの圧力があったのであろう。

気候変動の話が、島が沈んで国民がフィジーがどこかに移動する話に集中しているが、安全保障の観点から、中国と軍事協力も密接なフィジーが、人がいなくなった、もしくはもう既にいないキリバスの離島を、南シナ海の環礁のように開発する可能性は否定できない。

1:00:40 あたりから。

トンガの再生可能エネルギーとお金の話。

トンガ政府が作成した計画を、ニュージーランド政府が一切無視して自国の再生エネルギー機材をトンガに買わせた。その際、20億円のローンも強制。

ニュージーランド政府からトンガへの圧力の掛け方は異常で、当時のニュージーランド外相がビザを発給しなどの脅しを。(この情報はどこから得たのであろう?)

それだけではない。メイドインニュージーランドのソーラーパワーは電気代を削減するどころか機能に様々な問題を抱えていた。

それだけではない。太平洋島嶼国で全くビジネスの経験がない国営の電気会社は、このトンガの例を出して、株式公開し民営化したのである。

それだけではない。これらのニュージーランドとトンガの交渉はトンガ側の電力会社トップはニュージーランド人で、トンガ首相が書類を確認することさえできなかったのだ。

気候変動で莫大なお金が太平洋に散撒かれるが、Geopolitics, Geoeconomics, Geophysics と言った地域特有の背景がある、という事だ。

Raisina 2018 のビデオはどれも興味深いが、このキリバスとトンガの気候変動の話をこのブログに書いて最後にしたい。日本では誰も取り上げていないような気がするのだ。

インド太平洋戦略の重要な会議のはず、なのに。

追記:このCleo女史の他の記事もリンクしておきたい。まだ読んでいない。

How can a whole developing country switch to renewables? The example of Tonga

June 18, 2010

https://oxfamblogs.org/fp2p/how-can-a-whole-developing-country-switch-to-renewables-the-example-of-tonga/

WikiLeaks: New Zealand Sells Itself as “a more Pacific country” than Australia - And As Key to Pacific Security. US Buys It.

https://www.huffingtonpost.com/cleo-paskal/wikileaks-new-zealand-sel_b_796293.html

Why the West Is Losing the Pacific to China, the Arab League, and Just About Everyone Else

https://www.huffingtonpost.com/cleo-paskal/why-the-west-is-losing-th_b_786668.html