やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

色ボケ老人とミクロネシアの地政学

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完成したBai ra Bul

日本財団笹川平和財団が進めるミクロネシア海上保安事業。

パラオにBai ra Bul という海洋警察事務所ビルも完成した。

これこそ2008年にこの事業を立ち上げた当方がやりたかった事である。

パラオの海洋保護区支援は強く反対した。(海洋法上疑義がある)

監視艇の供与は管理運営上、米豪が強く反対した。(財団が長期のメンテ運営支援をする事で解決されるのだろう)

この海洋警察事務所案はどうにか達成させるべく、私はあらゆるロビー活動を米豪その他関係国、組織、個人に行ってきたのである。

そしてこの事務所をパラオに持って来たのは、私と多分確認していないが笹川会長だ。

これはミクロネシア地政学を知っていれば一寸の迷いも無い判断なのだ。

しかし、羽生前会長は私の提案に「反抗」した。羽生さんの「理由無き反抗」その1。

当初この事務所はミクロネシア連邦のポナペに置く計画で話が進んだのだ。

日本財団の広報に宮崎正さんという、元共同通信東京支社長のご老人がいる。

ある日突然電話があって太平洋島嶼国の事を教えて欲しいという。笹川会長から太平洋の事は早川に聞けと言われたのだそうだ。しかし、笹川会長は私が女である事を宮崎さんに言わなかったようで、電話を切る時に宮崎ご老人は

「なんだ、女か」

と吐いたのだ。こんなセクハラは当たり前。カチンと来たが無視して、教えて欲しいという老人の意欲を支援しようとなるべく時間を作って太平洋島嶼国の事をお伝えする努力をした。

その宮崎さんが

「海洋警察事務所はやっぱりミクロネシア連邦だね。なんせ一番広いEEZをもってるし、ミクロネシアのど真ん中だし。」

え?ミクロネシア地政学を何も知らないでこの話を進めている。ゾッとした。

それだけではない。宮崎さんは何を勘違いしたのか。

「君といっしょにいるところを見られると勘違いされる危険がるから人目が無いところで会おう。」

と。最初冗談かと思ったがマジだった。奥様には悪いが、仕事人としては尊敬していたが、男性としての魅力は何もない。少なくとも当方には。。単なる色ボケ老人の地政学音痴!

さすがに吐き気を催す程ゾッとした。今まで時間を作って教えてきた苦労はなんだったのか!二度と老人に親切にしない、と心に誓いました。

目の前が真っ暗になった時、一筋の光が。。

理由無き反抗の羽生前会長から突然連絡が。

「早川さん!事務所はパラオにする。笹川会長はミクロネシアの事がわかってんだよ。」

え?え?え?

ご家族から暴走老人と呼ばれている笹川会長。

私はこの時こそ、この方の下で働ける事をどれだけ感謝した事か。 しかし、コメディのような色ボケドラマはまだ続く。。