やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

天皇陛下のお言葉と気候変動

(このブログがよくシェアされているので新渡戸が象徴天皇論を議論したブログをリンクしておきます。原文を読みもしないで決めつける学者がいるのが悲しい。)」

yashinominews.hatenablog.com

 

「ご在位30年式典 天皇陛下、お言葉全文」に関連してあまり取り上げられていないようなので、メモしておきたい。

私がこのお言葉の中で一番印象に残ったのは気候変動に関する下記の部分である。

世界は気候変動の周期に入り、我が国も多くの自然災害に襲われ、…」

陛下は二酸化炭素とは言わずに「周期」とおしゃったのである。陛下は学術論文を何十本も書かれている「科学者」である。その陛下の気候変動に関する理解と公式の場でのご発言は国連のいい加減な発表よりも重い、と思う。

国連なんか、気候変動は何か知らない小国、途上国の集まりだ。しかも彼らは支援が欲しいし、頭を下げたくないので自分たちは先進国の犠牲者である、というストーリーを作る必要がある。何も非難しているわけではない。小国の限界を先進国が理解せずの放って置いたのがいけないのだ。

陛下のお言葉でもう一箇所気になったのがやはり「象徴」の箇所だ。

天皇として即位して以来今日まで、日々国の安寧と人々の幸せを祈り、象徴としていかにあるべきかを考えつつ過ごしてきました。しかし憲法で定められた象徴としての天皇像を模索する道は果てしなく遠く、これから先、私を継いでいく人たちが、次の時代、更に次の時代と象徴のあるべき姿を求め、先立つこの時代の象徴像を補い続けていってくれることを願っています。」

これは陛下が「象徴」であるとう憲法に対する異論に聞こえるのだ。もし、新渡戸の本を参考した結果であるのなら「国民的統一の創造者であり象徴」とすべきなのだ。しかし米国は「創造者」の部分を削除した。

誰かが統一をはからなければ、社会はどんどん分裂するのだ。今でも「自決権」という怪しいレトリックを国際法にしてどんどん分離独立が進んでいる。5万年の人類の歴史があるパプアニューギニアなどは900もの言語、部族が存在している。

国民的統一を創造」した存在としての天皇を私は世界に宣伝しいる。