第2話
「北朝鮮がミサイルを打ち上げるとミクロネシアに海底通信ケーブルが敷設される」
今年2010年3月、マーシャル諸島のクワジェリンから首都のマジュロ、さらにミクロネシア連邦の首都ポナペを経由しグアムに繋がる海底通信ケーブルが完成した。
なぜクワジェリンか? そこに米国の迎撃ミサイル基地があるからである。
正式にはRonald Reagan Ballistic Missile Defense Test Siteと言う。
海底通信ケーブルが施設される前は、衛星通信で情報を送信。これだと0.5秒の時差が発生し、ミサイル迎撃には間に合わないんだそうである。
この話が持ち上がったのが2000年頃。1998年8月北朝鮮が弾道ミサイル・テポドン1号発射し、日本上空を通過している。
マーシャル諸島政府、ミクロネシア連邦政府、各国の通信事業者等との度重なる協議の末、軍民両用の海底通信ケーブルが敷設された。
米軍にとっては基地のあるクワジェリンとグアムがつながれば良いわけだが、米国議会で予算を通しやすくするためか、4本の光ファイバーを設置し、2本が軍用、2本が民間としている。
ミクロネシア諸国にとっては千載一遇のチャンスである。海底通信ケーブルの施設料及び維持費は、島嶼国の経済規模からすると費用対効果が低いと見られ、デジタルディバイドに甘んじなければならなかったからだ。
今、ポナペとマジュロにはギガバイトの世界が広がっている。(が、制度改革が追いつかず、未だ64Kの世界のようだ。)
太平洋の島に先進国の安全保障が見いだせない限り、島の福祉開発に希望が見いだせない、という話か。
別の角度から見れば、先進国の財政状況が厳しい中、途上国支援や民間との連携で軍事費を獲得して行こう、という戦略か。昨年同ミサイル基地からマレーシアの商業衛星が打ち上げられ、ニュースになった。