やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ミクロネシア連邦国家ICT電信電話政策

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(報告書は20メガあるので必要な方はコメントにご連絡ください。コメントはこちらで承認しなければ掲示されないようになっています。)

現在下記のサイトから入手可能、となっています。2013.7.16

http://www.ict.fm/documents/communications/policy/ict-policy2012.pdf

 年末は多くのグッドニュースが入ってきたが、親分と某大統領面会のアレンジで ウッカリ、スッカリ、マルッキリ 忘れていたニュースがあるのを思い出した。

 2012年9月にミクロネシア連邦が「国家ICT電信電話政策」を愈々発表したのである。

 これは笹川太平洋島嶼基金の成果なのです。

 1991年から支援してきたUSPNetの経験を通じてわかった事は、通信の技術や予算、通信内容等等の前に「政策」が最も重要である、ということでした。そこで、ミクロネシア通信制度改革を目指したのである。

 実は当時のガイドラインには必ずしもしっくり当てはまらず、財団内でもなかなか理解が得られなかったが、たまたま国際協力銀行からいらした河野義彦さんが大きく支援して下さった事を記憶している。

 インフラ支援には「制度改革」がまず先、というのが当時の(多分今でも)開発業界では活発に議論されていたので、河野さんだけはこの事業の意義をご理解いただけたのだと想像している。

 加えて、ちょうどミクロネシア連邦マーシャル諸島は米軍が施設する海底通信ケーブルの話があったし、他の太平洋島嶼国では規制緩和、競争導入など大きな動きを見せていた頃で、電話局の運営をどうするか、という議論の必要が現地にもあった。

 とういわけでファシリテーター役を担うハワイ大学に対して2006年から2008年の3年間約1、500万円を助成したのである。(下記参照)ミクロネシア連邦だけは助成終了後もモリ大統領の判断で自国政府が予算をつけこの改革を継続してきた。

 その後島嶼基金は海洋事業に大きく舵取りをし、本案件には関わって来なかった。どのように作成されたのか興味があるところである。本来は沿岸総合管理策定のようにオープンに議論されていく過程が重要なのだが、それがあったのかどうか。

 中味を見ると典型的なICT主流。即ち手段であるはずのICTが目的になっている。ICTに何ができるのかを議論して、人がコミュニティが必要な事にICTを手段としてどう活用できるのか、という視点がない。典型的なICT専門家が書いた内容、というのが正直な感想である。

 それでも、このように国家ICT政策を策定した島嶼国はまだ少ない。モリ大統領のイニシアチブに、そして島嶼基金の助成に(自分の担当事業に)乾杯!ぴかぴか(新しい)ビールバー

ミクロネシアのICT政策改革支援>

事業費総額 16,682,861円

助成先:University of Hawaii (ハワイ大学/米国)

2006年度 5,651,800円

マーシャル諸島ミクロネシア連邦の情報通信技術(ICT)政策分野の人材育成を目的に、同地域のICT政策実施担当者に対し、ハワイ大学が実施する遠隔教育研修の機会を提供し、さらに日米専門家を派遣し、国家ICT政策(電気通信委員会の設置、法律案策定、法律制定、予算計画、組織再編計画策定など)実施のための支援を行う事業です。

本年度は、研修計画を策定し、マーシャル諸島共和国運輸通信省長官やミクロネシア連邦通信局長をはじめとする通信情報政策の実務担当者7人を対象に、2006年8月から遠隔教育研修を開始しました。この研修は週2回の大学院レベルの講義で、ICTシステムの歴史、政策、技術、運営方法など、基礎から実務まで学べる構成となっています。また、日本と米国からミクロネシアマーシャル諸島パラオに情報通信の専門家2人を派遣してICT政策のコンサルティングを実施しました。さらに地域における情報通信政策の向上を目指して、ビデオ会議システムを利用したワークショップ形式による政策協議を行いました。

2007年度 5,471,120円

事業内容

本事業は、マーシャル諸島ミクロネシア連邦に専門家を派遣し、国家情報通信技術(ICT)政策の改革を支援するとともに、同分野の人材育成を目的に、現地のICT政策実務担当者に対し、遠隔教育研修を行うことを目的としています。

本年度は、ハワイ大学のノーマン・オカムラ博士が現地に赴き、海底光通信ケーブルプロジェクトについて、独占防止のための競争政策、規制部門の設置、光通信公社のような公共体の設置、ODAの活用などの課題と対策について助言しました。 また、ミクロネシア連邦上院議員マーシャル諸島運輸通信省長官などの要人を含むミクロネシア連邦北マリアナ諸島、グアム、マーシャル諸島パラオのICT政策担当者7人にハワイ大学が実施する遠隔教育研修の機会を提供し、情報通信の先端技術、政策と規制、運営上の課題、地域的・国際的な情報格差、米国と他の諸国の規制などについて、衛星を用いた通信教育を行いました。この研修は週2回の大学院レベルの講義で、ハワイ大学の正規コースとして認定されています。

2008年度  5,559,941円

事業内容

本事業の目的は、ミクロネシア地域の情報通信技術(ICT)分野の人材育成を図るため、現地のICT政策実務担当者に対し遠隔教育研修を行うとともに、マーシャル諸島およびミクロネシア連邦へ専門家を派遣し、同分野の国家政策の改革を支援することです。最終年度である本年度は、ハワイ大学ノーマン・オカムラ教授により、地域レベルでの情報通信技術に関する協議を行うことを目的としたミクロネシア・チーフ・エグゼクティブ・サミット(MCES)通信委員会の設置に向けた協力のほか、マーシャル諸島におけるICT国家政策の策定に関する助言を行いました。

また、パラオミクロネシア連邦サモアマーシャル諸島の政府・大学機関および通信関連企業関係者計7名の研修生に対し、ハワイ大学が実施する大学院レベルの電気通信資源管理プログラムの一環として、情報通信の先端技術、政策と規制、運営上の課題等について、衛星を用いた通信教育を行いました。遠隔教育研修については、助成先であるハワイ大学とグアム大学の間で、将来的な共同授業の実施や研修内容に関する情報発信のあり方について協議がなされました。

3年間の事業を通じて、太平洋島嶼国のICT政策に関連する政府・企業・教育機関等の関係者21名に対し、遠隔教育による研修を実施し、参加者のICT政策・運営に関する知識向上に寄与することができました。研修生の中には、上院議員や運輸通信関連省庁の高官等の政府要人も含まれ、マーシャル諸島では、受講者が研修終了後に自国のICT政策の改革を提言するなど、各国のICT政策策定の核となりうる人材を育成しました。また、MCES通信委員会の設置により、参加国であるマーシャル諸島パラオミクロネシア連邦、グアム、北マリアナ諸島連邦の間で、今後域内でのICT政策に関する情報交換やICTを利用した協働事業の検討を継続的に行っていく体制も構築されました。