やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

南洋庁におけるハンセン病患者隔離政策

知らない事ばかりだ。

 日本委任統治時代、南洋庁は島のハンセン病患者を隔離するため、下記の療養所を設置した。

1926(大正15)年 サイパン島

1927(昭和2)年 ヤルート島

1931(昭和6)年 パラオ島

1932(昭和7)年 ヤップ島

 厚生省「官公立癩療養所長会議議案」1941年 に付せられた「官公私立癩療養所収容患者異動月報」では、収容患者数が夫々ヤルート17、パラオ18、ヤップ34となっている。

 また、島民はハンセンが伝染病との認識はなく、隔離される事に大きな抵抗があった、と書かれている報告書も目にした。戦争末期には療養所から抜け出した患者を銃殺したとの記録も読んだ。

 2007年、日本政府は上記4つの療養所を新たに補償の対象施設に指定。現地調査や当時の文献から、患者を強制隔離していた事実が確認できたためである。

 今年、2010年1月、ミクロネシア地域では始めて「パラオ癩療養所」の元入所者1人に補償金(1人当たり800万円)を支給することを決めた、そうである。

 急遽、パラオ出張が決まり、慌てて情報収集していますので、誤解等ございましたら、ご指摘、ご教示いただけると幸いです。

(文責:早川理恵子)