パラオ出張中に鷲頭大使が急に叫んだ。
「日本人が外国人と結婚するのは許せん!」
どっ、どうしたんだろう。過去に何かあったに違いない、と聞き流した。
その後、「君は外国人と話してはならん!」
仕事ができまへん。やっぱり過去になにかあったに違いないと思い、鷲頭大使の目を避けて外国人と話した。
もう一人いる。トンガ国王ートゥポウ5世である。
オークランドの町で偶然お会いした。太平洋、広いようで狭い。
「リエコ、あそこにいるのは誰か。」
「愚夫でございます。」
「大和魂はどうした!今晩刺身を食べに行くぞ。来い。」
恐る恐るでかけると、確かに王様が遅れていらして、後は「大和魂」について延々と御説教いただいた。話は紆余曲折しトンガ王室も日本の皇室のような存在にしたい、というお話になった。
肝心の父親はどうか。
婿とコミュニケーションができないのは、非常に不安らしい。
お正月の度に、娘でも孫でもなく、愚夫に高価な贈り物をする。
後で調べると0が4つか5つある代物だ。
「どうしてそんなことをするのか?現金の方がありがたいが。」
「現金を渡せばお前に取られるに決まっている。それよりお父さんはおまえが捨てられるんじゃないかと心配で心配で。」