やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

島と海のネット第1回総会報告 その3

島と海のネット総会の開会式には、日本財団の笹川会長のスピーチがあった。

事前にスピーチ内容を確認できるか、と事務局に聞いたが、事前の調整はなかったという。

それで会長は即興のスピーチをされた。

こんな事を言っては失礼だが、全然ボケてないどころか、即興なのに理路整然、うまくまとめている。

しかも、最後に一大発表があった。

日本財団は(多分笹川平和財団といっしょにだと想像するが)日米豪の協力で海洋管理機構を設置する、という内容だ。(記録がなく、文言は正確でない)スピーチ後、参加者の皆さんから「すごいわね、何やるの?」と質問を受けた。

これこそ、当方が羽生会長から「頭がおかしいと思われるから誰にも言うな」と言われた件であり、会長室で「そんなのは帝国主義だ、植民地主義だ」と吊るし上げにあった件である。

もうばらして良いかと思うが、一昨年笹川会長から本件を伺い、どう思うか?と尋ねられた際

「羽生会長から頭がおかしいと思われるから誰にも言うな、と言われている当方の提案と同じです。」と、咄嗟に答えてしまった。

別に難しい話ではない。

人口2万人のパラオ(しかも半分はフィリピン人)が、他の小島嶼国が、管理不可能なEEZを持ってしまったのだ。

それだけではない。そもそも管理運営不可能な「国家」になってしまったのだ。

モナコシンガポールのように英国の金融基地やカジノが整備されれば話は別だが。。

パラオ海洋警察数十人で60万平方キロメートルのEEZは護りきれない。

米は冷戦終結と共にその意義を失ってしまった。

誰も護らなければ、シーシェパードがやって来るのである。

放っておけば中国の汚職マネー逃避先としてのカジノができるのである。

で、これが一番重要なのだが、そうすると私の仕事が増えるのである。

2011年にパラオに入ったシーシェパードを追い出したのは自分である。

より正確に言うと羽生会長からは情報収集をせよ、というのが公式な業務指示であったが、結果的にUSCGを動かし、ワシントンD.C.を動かす事になった。日本の外務省も水産庁もこういうルートは全くありません。

だから、水産庁の前次長宮原さんからもお礼を言ってもらえたのです。

日米豪の協力による海洋管理枠組は、財団がやるしかない。