やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

島と海のネット第1回総会報告 その4

島と海のネット第1回総会は事務局側に位置するのだと思うが、自分の役割が今ひとつ明確でなく、手持ち無沙汰であった。

それで会議中に積極的に発言、質問をした。

パラオ国際珊瑚礁センター所長の古い知り合いでもあるイム博士に、羽生会長の質問をぶつけてみた。

パラオに数隻の小型警備艇が10年分の燃料とメンテを含め供与され、それだけでなく通信施設、人材育成まで支援しています。さらに財団の活動をきっかけに水産庁が500トン規模の取締船をパラオに派遣する事になりました。昨日の笹川会長のスピーチでは日米豪の海洋管理枠組みをさらに強化していくとのこと。素晴らしい事だと思いますが、パラオの立場に立った時、主権への脅威、即ち帝国主義植民地主義、と捉えられないでしょうか?」

政治的な質問だったので、海洋学者のイムさんには気の毒だったかもしれない。

しかし、羽生会長の懸念は、指摘は正しいのである。

支援が完璧になればなるほど、皮肉な事に感謝されるのではなく煙たがれる傾向も生まれて来る。

現地の声、意向を尊重しつつ、人材育成までの支援し、人口2万人の小国の主権を大事にする事は、当たり前ではあるが、時に見逃したり、忘れたりしてしまうのだ。

過去に財団幹部が、ミクロネシア連邦の大臣に向かって強く要請する態度を取り、事業が頓挫しそうになった事がある。この火消し役を羽生会長から指示され大変な思いをした事もある。また水産庁パラオ取締船派遣でも主権国家としての判断を尊重する、という態度を明確にした方が良い、とアドバイスさせていただいた。

吹けば飛ぶような小国の「主権」。だからこそ護ってあげなければならないのだ。

くれぐれも小国への対応は、細心の注意を促したい。