やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ミクロネシア地域協力

 

パラオへの出張は、すべて自分でアレンジする。ミッションまで自分で立てる。

ミクロネシア大統領サミットと首長会議が開催された。 実はこのミクロネシア地域協力の枠組みは、私が、恩師、渡辺昭夫先生のアドバイスを受けながら支援してきた成果なのである。

渡辺昭夫東大名誉教授を運営委員長にお迎えし、日本との関連が強いミクロネシアネシアに焦点を当てた内容とした。

90年代はUSPNetをODA案件にした直後で、USPがカバーしていないミクロネシア地域の遠隔教育とICT環境を整備することが具体的目的であった。 2008年に開始したミクロネシア海洋安全保障事業は、このミクロネシア大統領サミットの場で合意を得て開始したのだ。

これは私のアイデアであり、実行したのも私である。

当時、パラオの大統領補佐官、現在の国務長官クアルテイ閣下の協力を得て、あっという間に3国の大統領合意事項となった。 さて、久しぶりのミクロネシアサミット。 2008年の時と同じ顔ぶれである。レメンゲサウ大統領、クアルテイ長官。そして米国人法律家でレメンゲサウ大統領の右腕、ラリー•ゴダード氏。

ミクロネシア地域協力の制度化は当時からの課題であったが、今回はミクロネシア3国の大統領サミットと、米領のグアム、サイパン+ミクロネシア4州+ミクロネシア3国からなる首長会議と二本立てだったのを一本化し、Micronesia Islands Forumと改名することで合意。パラオに事務局を設置するところまで合意された。 台湾政府から400,000ドルの資金援助も決定している。 この地域協力の枠組みを、基金事業として支援してきた当方としては、日本が支援したい、という思いだ。

ICTの方も、このブログで紹介させていただいているが、ミクロネシアの情報通信制度改革を、昨年は個人的な立ち場で支援させていただき、いよいよ海底通信ケーブルがパラオーヤップを結ぶこととなる。未だ、政策、規制作りの課題があり、これもサミット開催中、担当者と協議をする機会を得た。

yashinominews.hatenablog.com

パラオ出張の最後の夜。レセプションの席で、クアルテイ国務長官とこの8年の歴史を、さらには閣下が教育大臣として遠隔教育事業を進めようとした20年の歴史を語り合う時間があった。 まさか、ここまで続けられると思っていなかった。