やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオ法務大臣が司法長官、検事、公安局長を訴える

パラオのベルズ法務大臣(副大統領兼任)が司法長官、検事、公安局長を訴えた記事が出た。

"Humiliated" Palau VP Seeks At Least $1M In Damages

April 26, 2016

http://www.pacificnote.com/#!Humiliated-Palau-VP-Seeks-At-Least-1M-In-Damages/cjds/571f373f0cf269c350f01270

 

まず Aguon公安長官。米国太平洋司令部、PACOM からの送金$100,000以上を政府の銀行口座ではなく、NGOの口座で受け取ったという。この送金手続きに関し、Aguon公安長官は適正な手続きをしなかった、という事だ。なおこの費用はPACOMがパラオで行う法執行官訓練に使用された。

 

そして、Bradley 司法長官とSimms検事。

この2人が、ベルズ法務大臣を昨年起訴したのである。理由は個人口座を勝手に調べた事だが、それは罪にはならない、という判断が下され無罪。

この件に対し、ベルズ法務大臣が彼の家族も含め受けた打撃を主張し、Bradley 司法長官とSimms検事に夫々$500,000 の賠償を請求。

現在Simms検事は既に解雇されパラオを出ている。Bradley 司法長官は出身地テキサス州で行われた娘の結婚式に出るため不在。

 

ベルズ法務大臣が起訴した3名は、レメンゲサウ大統領の直接の指名である事も背景として認識しておく必要があるであろう。

この件は、大統領と副大統領、大統領府と法務省の対立構造を浮き立たせたかもしれない。

実は財団が行った2月のパラオでの会議では、当方はこの緊張関係を注視しながら関係者の調整作業を実施した。胃がキリキリの状態だったのだ。

 

問題は、日本財団、笹川平和財団のパラオ政府に対する支援窓口が大統領府、法務省である事だ。

当方は、2月の会議直後、羽生会長、海野常務に、この問題に距離を置く国務省、特にクアルテイ国務長官の助言を求めるようアドバイスさせていただいてる。

 

しかし、PACOM はなぜ一千万円を超える予算をNGO口座に送金したのか?米国政府との情報共有も必要である。