やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パナマペーパーと太平洋島嶼国(1)

ペンディングにしていたパナマペーパーと太平洋島嶼国。

今週何回かに分けて書きたいと思います。

このブログの読者はご存知の通り、太平洋島嶼国といえば、タックスヘブン、マネロン、便宜置籍船等々主権ビジネスが蔓延っています。

パナマペーパーにもしっかり太平洋の小さな島々が入っていました。

まずは下記に見つけたデータをエクセルにしてみました。

Panama Papers: where the money is hiding

https://briankilmartin.cartodb.com/viz/54ddb5c0-f80e-11e5-9a9c-0e5db1731f59/public_map

比較のために、オーストラリア、ニュージーランド、日本も入れておきました。

サモアのCompanies 1,613が目立ちます。次に多いのがニュージーランド自由連合協定を締結するニウエです。

PICsPanama.png

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データにあるCompanies, Clients, Beneficiaries, Shareholders, の違いが良くわかりませんが、これらを合計したのがFです。やはりサモアが一番多く、2,046と2番目に多いオーストラリアの約2倍です。

さらに各国の人口を入れ、一番右には人口をFの数、即ちパナマペーパーの出て来たCompanies, Clients, Beneficiaries, Shareholdersの総計Fで割ってみました。

ニウエは2人に一人、サモアは97人に一人。の次がマーシャル諸島で293人に一人の割合でパナマペーパーで上げられたタックスヘイブン活動に関わっている事になります。

勿論、ニウエの人がタックスヘブン活動をしているわけではなく、ニウエに法人を設置した他国(多分先進国)の数字のハズですが、国が小さいほど関与率が高い、という事が言えるかもしれません。即ち小国なほど法規制が緩い。

加えて、サモア、ニウエと言えばニュージーランドとの関係が強く、ニュージーランドが金融規制を逃れる手段として利用している可能性もあります。

そう、悪いのは太平洋島嶼国ではないんです。(ウソ!)

パナマペーパーの問題はタックスヘブンというシステムを利用した国際犯罪である事です。

次回は、西オーストラリアにあるハットリバー公国という自治領が、太平洋島嶼国とタックスヘブン、そしてロシアの軍事密輸の話につながる記事を見つけたのでそれを紹介します。