BBNJのいろは編。
下記の本田悠介氏(2016年3月31日)のペーパーで勉強しています。
国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)と国連海洋法条約
国際法学会エキスパートコメント No. 2016-1
http://www.jsil.jp/expert/20160331.pdf
今日は最後、4点目のBBNJ条約交渉の法的論点。 能力開発及び海洋技術移転。
これも3点目の環境影響評価と同じく、UNCLOSに「努力義務または一般的な国際協力義務として」定められているのだそうである。
第11部 深海底 第143条3項、144 条、
第13部 海洋の科学的調査 243 条、244 条、
第14部 海洋技術の発展及び移転 第 266 条、第 273 条、第 276 条
能力開発及び海洋技術移転を要請しているのが、G77+中国。
しかし「能力開発及び海洋技術移転」が具体的に何を示しているのか、このペーパーが書かれた今年の3月末時点では不明。
そして、課題となろうもう一点は海洋技術移転の知的財産権。これもUNCLOS267条に明記されている。
これで思い出すのがインターネットガバナンス。
主に米国が主導し開発したインターネットは全世界の共同財産となっている。
インターネットの技術だけでなく、そのセキュリティが米国の管理から世界の管理に移行し、混乱しているのが現状。
またインターネットに関する技術開発の背景には、Geek コミュニティとでも呼ぶ、研究者たちの信頼関係があった。
核戦争を想定して開始したインターネットの歴史的背景と同時に、コンピュータを繋げたい、世界の人々をつなげたい、という研究者や技術者の意図と、繋がりたいというユーザーの意図があった。
海洋生物多様性は誰のために、何のために開発し、守られ、維持されるのか?
基本的アクターはこの条約を協議する「国家」であろうが、そこには米国のような大国から人口2万人のパラオまである。
次はBBNJの協議過程を見てみたい。