やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

海洋安全保障研究会

オールUSでパラオの海を守る

「タスクフォース・オセアニアの太平洋増強チームは先日、オセアニアの島国への継続的な支援を行う最初のローテーションツアーを終え、この地域の同盟国やパートナーに対する米陸軍太平洋軍と米インド太平洋軍のコミットメントを示しました。」 日本財団と海…

パラオ海洋保護区の問題を指摘するウィップス大統領と柄澤大使

https://islandtimes.org/a-new-chapter-in-the-history-of-palaus-pelagic-fisheries-karasawa/ 柄澤大使は、3隻の船はパラオ国内の遠洋漁業市場を強化し、乱獲されているサンゴ礁の種のストレスを軽減するのに役立つと説明。 「パラオの漁業を取り巻く状況…

クニオ・ナカムラ大統領の遺産(3)レメンゲサウ政権の環境保護懸念

ナカムラ大統領の任期は1993−2001年で4年の任期を2期務めた。その座を副大統領としてナカムラ氏を支えた現大統領のレメンゲサウに譲ったのである。 しかし、レメンゲサウ政権は環境保護を、時の流れに沿って強く押し出した。これにナカムラ大統領は強く反対…

ホワイトハウス米領サモアの海洋安全保障強化

これも感慨深いというか・・ 米国国家安全保障局が(国防省でも、国務省でもなく!)米領サモア周辺を監視するため高性能の監視艇を供与、とのこと。中国の違法操業監視が主な目的。 2008年、私がミクロネシア海上保安事業を立ち上げるとき、米国国務次官補…

白石隆著「海の帝国」アダム・スミス、ラッフルズ

ラッフルズホテルとラッフルズは関係ないのだが、死ぬまでに一度は泊まってみたい。 白石隆著「海の帝国」は、ミクロネシア海上保安事業を2008年に立ち上げる時に、どのようなコンセプトで事業を進めればよいか、模索していた時に出会った本である。 「イン…

クニオ・ナカムラ大統領の遺産(1)ミクロネシアサブリジョナリズムの動き

www.jiji.com ナカムラ大統領と日本の関係を、表の、顕教的関係を作ってきたのは私である。 1999年のPIF総会に田淵節也氏と、三塚博議員をご案内し、ここで一気に日本パラオの表の関係のステージがあがった。 翌年2000年は第二回島サミットで、森総理とナカ…

"Sovereignty" and "Sovereign right"

Palau constitution violated the regime of EEZ in the UNCLOS. I have read this argument a few times in the past. This was also the reason why the US could not agree to an “anti-Nuclear” constitution in the 80s. Recently I have read “Constit…

太平洋島嶼国のEEZ(修正あり)

やっとできた! 太平洋島嶼国のEEZと、陸地面積、人口、GDPを比較した表。 参考に日本と中国を入れた。(下線は修正箇所) 左から4つ目の列は陸地面積とEEZ面積の比較。日本はEEZは陸地の12倍。クック諸島は8,270倍。キリバスは4200倍。 左から6つ目の列は…

パルド大使の論文とムーミンパパ

海洋法条約の父、パルド大使の論文ってあまり出て来ないなあ、と呟いたら下記の2つをムーミンパパさんが教えてくれました。(ツイッターのアカウント名です。多分国際法を専門にされる方です) 後で読んでコメント書きますが、パルド大使は海洋の専門家でも…

パラオ、オンラインギャンブル中国人犯罪検挙

説明は後で、、取りあえず大きな前進。

カンパチとナヴァロの水産改革

2020年5月7日の大統領令で示された米国の水産改革。同日のウォールストリートジャーナルに、トランプ政権の通商戦略ブレーン、ピーター・ナヴァロと国内政策会議(DPC)委員長ジョー・グローガンの連名で記事がでた。 "Trump Lifts the Net off American F…

トランプ大統領とピーター・ナヴァロの漁業・海洋政策<追記あり2020.5.26>

これこそドンピシャの私の研究課題。後で読みますが、要はオバマやデカプリオ、PEWが工作してきた海洋政策の転覆でパラオや太平洋島嶼国に関連してくる話。。 しかし、まさかナヴァロが漁業政策を語るとは思わなかった。。 <追記1> トランプ大統領とピー…

デビッドソン司令官パラオに200億円の弾道ミサイル追跡レーダー施設要請

インド太平洋司令軍のフィル・デビッドソン司令官がパラオに200億円の弾道ミサイル追跡レーダー施設予算要求をしたがそれは全体のほんの一部だ。要請した総額は2兆円である。 太平洋の重要性、そして明確に中国を意識したインド太平洋安全保障がワシントンで…

ベルツの日記 読書メモ(3)第4編教職を退くまで

ベルツの家族 ベルツは日本人のハナさんと結婚して日本を第二の故郷とし、日本政府との当初2年の契約が26年になったのである。 26歳で日本に渡り、53歳で帝国大学を退職するが、その後3年宮内省侍医として勤め、1905年、56歳でドイツに帰るのだ。 読めば読…

セクシー大臣でわかった、ゆすりたかりの小島嶼国の存在

トランプ大統領のパリ協定離脱スピーチを2、3回聞き、ピーナッツ(端金)の部分が気になってスピーチ原稿を探し確認し、これは島嶼国の外交官かもしれん、とウェブサーチで探し当てると言う、調査分析活動を行なったのは世界広し、と言えども私だけであろ…

キリバス台湾断交と中国衛星スパイ基地と売春婦

キリバスは日本に支援をずっと要請してきたのである。日本は何もできなかった。米豪首脳会談に日本も参加すべきだ。中国の海洋権益だけでなく、中国宇宙軍に利するばかりなのだから。 ニュージーランドのマイケル・フィールド記者は、先日英国軍ラグビーチー…

キリバスのEEZと米国の安全保障

キリバスの台湾断交。あまりにも突然でニュースも出てこない。誰もこの動きを抑えていなかったのだ。それほどキリバスは世界から見放されていた、とも言えるかもしれない。 あれだけ、アノテ・トン元大統領が島が沈むと世界に訴えていたにも拘らず、だ。 キ…

Pacific Fusion Centre - 新たな太平洋海洋安全保障枠組み

連戦終結後、米国が太平洋への関心を失って、その存在をあらゆる場面で消していく中で、海洋安全保障も同じで、広大な太平洋の海の安全保障を一人守ってきたのが豪州である。 PPBP Pacific Patrol Boat Program という。EEZ制定と共に立ち上がった豪州の太平…

井上和彦氏の太平洋島嶼国に関する事実誤認

【DHC】2019/9/18(水) 井上和彦×藤井厳喜×居島一平【虎ノ門ニュース】 - YouTube 私は井上さんが太平洋島嶼国のことをメディアを通して広く知らしめていただいていることをディスカレッジするつもりは毛頭ないし、その活動を尊敬し、応援したい、という立場…

<緊急提言>ソロモン諸島の中国対応策ー日米豪英で対抗せよ!

ソロモン諸島が台湾との断交を決定してしまいました。落ち込んでいてもしょうがありません。対策を提案します。 ソロモン諸島、中国から500億円の援助と共に台湾と断交。国連総会でペンス副大統領が同国首相と会談の予定だが、中国は全てお見通しで前倒し…

ソロモン諸島を巡る中台の情報戦!日本は無関心でいいのか?

いよいよソロモン諸島が台湾から中国に鞍替えしそうで、まさに今、情報戦が交わされている。日本は全く関心がない!誰も話題にしていない!それでよくまあ台湾を支援なんて言えますね。 と文句を言っていてもしょうがない。一人でも粛々と情報を収集し発信し…

米国沿岸警備隊も認める麻薬で覆われたブルーパシフィック

www.pacificislandtimes.com 記事のタイトルは「青い大陸の白い粉」以前私が書いたブログと同じだ。何がブルーパシフィックだ。権利だけ主張してなんの義務も感じていない。太平洋の海は無法地帯となっている。 記事には米国沿岸警備隊のCommandant Admiral …

”Red Star over the Pacific” 2nd edition by T. Yoshihara, J.R.Holmes

昨年12月に発行された"Red Star over the Pacific" second edition、はすごい内容だと思う。軍事、中国の知識がないとついていけない、というのが正直な感想だ。 それでも中国の海洋権益を中心とした「中華思想」の確信を理解、というより衝撃を受けるのは序…

麻田貞雄著『両大戦間の日米関係ー海軍と政策決定過程』

ワシントン軍縮会議はヤップ協定が日米間で締結された会議でもあるので興味はあるが、しっかり本を読んだとはない。 麻田貞雄著『両大戦間の日米関係ー海軍と政策決定過程』の2、3、4章を読んだ。当然だが日本も米国も一枚岩ではなく、海軍の中も一枚岩で…

America's Pacific Island Allies - RAND 報告書

数週間前に米国のシンクタンク、RAND Corporationから米国が自由連合協定を締結するミクロネシア3カ国に関 する報告書が出て、安全保障、アジア太平洋、インド太平洋関係者はみんな読んでいた。 ざっと読んだがかなり大雑把な、簡単にまとめられた内容で、こ…

私をインド太平洋構想に導いた衛藤晟一議員

太平洋を渡り歩いて30年の私が一気に安倍政権の「インド太平洋構想」に範囲を広げるきっかけを作ってくれたのが衛藤晟一議員なのである。 先月シンガポールの学会で発表のリハーサルをしながら思い出していた。 2017年4、5月。私は古屋圭司議員が会長を務め…

「商業捕鯨再開へ向けて」森下、岸本論文

ウェブで偶然見つけた捕鯨関連の論文だ。掲載場所と日時が明確ではないのだが資料の最後にある下記の連載記事を集めたものかもしれない。 森下丈二、みなと新聞連載「商業捕鯨再開に向けて」(2015 年 2 月 19 日から 11 月 12 日、隔週、計 20 回)。 50ペ…

IWCを変容させた米国動物愛護団体

「UNLCOS65条の適切な国際組織、あれ複数にしたの日本ですよね。」 「そのはずだけど。」 知り合いのジャーナリストから連絡があった。以前ざっと読んでメモした動物愛護団体の幹部パトリシア・フォルカン女史のペーパーを再度読んだ。 yashinominews.hatena…

薗浦健太郎衆議院議員、内閣総理大臣補佐官インド太平洋構想オールジャパン実行部隊の成果ここにあり!

先週、シンガポールで開催された学会に参加してインド太平洋構想宣伝してきました。これは発表資料のパワポの一枚。 ソノケンこと、薗浦健太郎衆議院議員、内閣総理大臣補佐官(国家安全保障に関する重要政策担当)のインド太平洋構想オールジャパン実行部隊…

チャゴス判決(4)玉田大教授の分析

チャゴス判決に関して先月末に神戸大学玉田大教授の論考が出ていた。 玉田大。「チャゴス諸島分離の法的帰結」判例時評(法律時報)。 2019.06.28 「大国の横暴に翻弄された小国を助ける、という判官贔屓の構図が最初から出来上がっていたと言えよう。」 こ…