やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

BBNJとは何か?気になる”アドホック・オープンエンド非公式作業”

2015年6月19日に国連総会決議第69会期決議292が採択。

タイトルが長い。

国家管轄権を超える区域の海洋生物多様性保全及び持続可能な利用に関する国連海洋法条約の下の国際的な法的拘束力のある文書の作成」

ここに議論の参加者、参加方法が記されている。

アドホック・オープンエンド非公式作業部会、というのがBBNJ条約議論の基盤である。

この「アドホック・オープンエンド非公式作業部会」に誰が参加するのか?

政府間会議に先立ち、下記の構成員による準備委員会が設置され、2016年今年から作業が開始。

1.全ての国連加盟国

2.専門機関のメンバー及び

3.国連海洋法条約の締約国

4.国連の過去の慣行に従いオブザーバーとして招聘される他のもの

最後の「国連の過去の慣行に従いオブザーバーとして招聘される他のもの」がアヤシイ。欧米の環境NGOが主要メンバーではないか?

太平洋島嶼国の参加はどのように担保されるのであろう?

同決議文の項目5に詳細がある。

発展途上国、特に後発発展途上国、内陸発展途上国島嶼発展途上国が準備委員会等に参加できるよう特別信託基金の設置が要請。

この基金に貢献を期待されているのが下記機関と法人など

加盟国、国際金融機関、ドナー機関、政府間組織、非政府組織並びに自然人及び法人

この信託基金は設置されたのであろうか?

まだ設置されていなければ、発展途上国はどのように参加しているのか、いないのか?

アドホック・オープンエンド非公式作業」の正当性はどのように担保されるのか?

インターネットガバナンスもマルチステークホルダー方式で議論されている。

小国の数のパワーは大きい。

何も今に始まった事ではなく、冷戦下米ソの下に途上国が別れた。

巨大な基金を背景にした欧米環境NGOの存在もある。

小国の存在は国際連盟でも新渡戸が指摘している。満州事変で英国は日本に理解を示した。批判したのは中国情勢を全く知らない南米などの小国だった、という。

次は太平洋島嶼国がどのような姿勢でBBNJに対応しているか、見てみたい。