やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パプアニューギニアと笹川良一

パプアニューギニアの独立を世界で唯一人支援したのは笹川良一氏である。

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このことは、笹川平和財団の中でも、日本財団の中でも、肝心の笹川陽平氏もご存知ないのだ。私は日本財団のセクハラ老人鳥井敬一氏から「笹川さん、そんな事わかってないから教えてやれよ」と言われてこのブログで書いてきた。

 

私が事実関係を知る事ができたのはパプアニューギニアの国父、マイケル・ソマレ閣下の自伝「Sana」を読んだからである。

笹川良一氏は慰霊で訪ねたウェワクで若き独立運動家のソマレ青年に出会う。そして彼の選挙を支援する。支援と言っても選挙用の車を二台送っただけらしいが、当時選挙活動で車が使用できる事の意味は大きかった。結果ソマレ青年の大勝利で独立は一気に進む。

それから、ソマレ青年を日本に呼んで、佐藤首相に会わせる。豪州政府は慌てる。本来豪州が支援していなければならなかったパプアニューギニアでの人種差別、社会問題が世界に筒抜けだ。

結果、1975年にパプアニューギニアは独立してしまう。

「しまう」と書いたのは笹川良一氏はパプアニューギニアに900もの言語即ち部族がいる事やその統治の複雑さは知らずに、ただ任侠心で支援したのではないかと想像しているからだ。もしパプアニューギニアとはどんな地域か知っていれば支援を躊躇するはずだ。それに財団の誰もこの動きをフォローしていないのはおかしい。

私はこの問題をよくよく考えた。笹川良一氏、そして笹川氏を唆したであろう日本の関係者は無責任といえば無責任だ。一つの国家が誕生するのである。しかし、もし笹川良一氏が支援していなければ豪州の搾取、差別は続いていただろうし、日本企業の進出も遅れていたかもしれない。

今週パプアニューギニアは初めてAPEC総会を主催する。安倍総理、ペンス副大統領も参加。中国問題、汚職問題のニュースばかりである。