やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

マクロンの平和会議は茶番劇か?

第一次世界大戦の終戦を記念して、パリでマクロン大統領が大々的なセレモニーを開催し、トランプ、プーチン、メルケル等々世界の指導者が集まり、日本は麻生副総理が参加した事を昨日知った。

日本のメディアはほとんど報じていない、とのこと。

このセレモニーの一つにマクロン大統領主催のParis Peace Forumというのがある。パリ講和会議は1919年だからちょっと早い。

トランプ大統領はここは不参加。

ボルトンのコメントは以下の通り。多数国機関の交渉ではなく同盟国との協議を望む事とある。これは賛成。権利ばかりで義務を顧みない小国やNGOの集まりである。

His national security adviser, John Bolton, is also opposed to multilateral institutions, arguing the US should wield its power alone or with close allies.

 

でこのParis Peace Forumのサイトが既にある。

ここには世界のありとあらゆるアクター、即ち国、国際機関、地方政府、NGO、財団、企業、専門家、ジャーナリスト、貿易組合、宗教グループ、そして市民。とある。これはトランプ大統領スキップして正解だ。

To support collective action, it gathers all actors of global governance under one roof for three days – states, international organizations, local governments, NGOs and foundations, companies, experts, journalists, trade unions, religious groups and citizens.

 

我等が麻生副総理は?

100年前、後藤新平が「一大茶番劇を見に行こう」と新渡戸を誘って、その茶番劇の後始末、即ち国際連盟設立まで新渡戸に押し付けてしまった。新渡戸は平和14か条を掲げてパリにヒーローのように降りたったウィルソンとは同窓生だ。

実際は欧米列強は誰もウィルソンの、27歳のウォルター・リップマンが仕上げた14か条など相手にしなかった。それどころかフランス首相だったクレマンソーはドイツに多額の賠償金を要求し、危機の20年を作った張本人ではなかったか?

インド太平洋に世界第二位の広大なEEZの管轄権を、領土を持ちながら何もやってこなかったフランス。マクロン大統領の平和会議は100年前の茶番劇より上手かもしれない。

とは言うものの平和フォーラムは今日までなのでその成果を見たい。麻生副総理も参加したのであろうか?

 

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