やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

安倍総理のフランス訪問に向けて(提言)

www.nikkei.com

 

「2つ目の訪問先、フランスではマクロン大統領と会談し、海洋秩序の確保に向けた対話の枠組み新設で合意する見通しだ。外交・安保当局などの幹部らで構成し、自衛隊と仏軍の共同訓練や艦艇や航空機の相互往来を話し合う。

 日仏が意識するのがインド太平洋だ。中国軍は南シナ海の軍事拠点化を進め、米国や周辺国との対立が深まる。日本は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を掲げ、フランスは太平洋地域のニューカレドニアポリネシアを領土にもつ。この地域の安定は両国の国益に合致する。両首脳は北朝鮮の非核化に向けた協力も申し合わせる。」上記、日経の記事より。

 
安倍総理のフランス訪問を支持します。
反安倍グループ、野党からは取り止めの声が出ているようですが、安倍総理が現場で災害支援をする訳ではないし、私は外国訪問を支持します。

今回の訪問先のフランスについて私は太平洋島嶼に関連し、特に海洋の関係でここ数年追ってきました。
仏領のニューカレドニア仏領ポリネシアも独立の動きがあり、現在政治的に不安定です。仏領ポリネシアの青年層の失業率は55%と社会的不安もピークです。両地域の犯罪率も激増しています。

勿論ニューカレドニア仏領ポリネシアにはすでに中国が侵入していています。PLA寄港地ともなっていますし、仏領ポリネシアの環礁(ハオ環礁)は水産資源開発の名目で買い取られています。
仏領ポリネシアは中国と南アメリカの中間に位置すると同時に、南極大陸の足がかりともなる地政学上重要な場所です。

マクロン大統領は今年5月のニューカレドニア訪問に続き、来年は仏領ポリネシアで「島サミット」開催を宣言。同じ月に開催された安倍総理の「第8回島サミット」で海洋安全保障とインド・太平洋戦略を前面に押し出し事に勇気付けられた事は一目瞭然です。フランスの97%のEEZはインド太平洋の領土で形成されています。

しかも安倍総理の島サミットには仏領のニューカレドニア仏領ポリネシアが初参加しています。
これが日本の、安倍政権の政治的メッセージでなくてなんだと言うのでしょう?
そして、あまり知られていませんが仏領ポリネシアの文化的精神的自立を支えたのは日本人の考古学者篠遠善彦博士なのです。

<参考ブログ>
第4回フランスオセアニアサミット
https://yashinominews.hatenablog.com/entry/2015/11/28/111413

フランスのEEZ
https://yashinominews.hatenablog.com/entry/2016/07/08/130811