やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

欧州訪問ーEuropean Society for Oceanists

 
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第12回European Society for Oceanistsが英国ケンブリッジで開催されており、参加しています。

軽く報告していきます。

インド太平洋を学問として記してきたのは、悔しいけれど欧州。植民地政策の一貫として人類学、植物学、地質学等々が発展して来ました。

インド太平洋を語る時、欧州の研究は外せません。

European Society for Oceanistsは1992年に設立された団体。参加者を見ると圧倒的でニュージーランド、オーストラリアの大学が多い。

http://esfo-org.eu

 

今回のテーマは Dealing with Inequality: Pacific perspectives, Pacific futures

非常に政治的テーマです。

そもそも「不平等」の概念自体が西洋の、ルソーあたりを起源とするのではないか。以前ルソーを批判したローレンツ・フォン・シュタイン博士の『平等原理と社会主義』を読んだ事を思い出しました。そこの部分の議論がなく会議が進むことに若干の、いや大きなる疑問。

それに白人ばかりだ。
インド太平洋を、オセアニアを学問的に記したは欧州人である。植民地支配と人類学は繋がっている。
その状況は今でも続いている。問題は彼らの言葉で、彼らの概念でインド太平洋が語られることだ。それが主流になってしまっていることだ。

かわいそうな搾取される太平洋島嶼国
しかし、本当は 強かで法遵守精神も環境保護もしていない太平洋島嶼国

yashinominews.hatenablog.com

 

初日は鉱山開発の話。パプアニューギニアでは英文契約書の中身もわからずメクラ判で地元の人が署名してしまう。環境評価などもいい加減というか、騙されている可能性が。モラルエコノミーの話も出て来ました。この分野知りません。

メクラ判は、今ヤップ島で中国と地元民が行っていることと全く同じです。

私は思わず、「パプアニューギニアの独立支援したのは日本人の笹川良一さんなんですが、独立は間違っていたのではないか?それに、あまり意味のない質問かもしれませんが(役に立っていないことはわかっているから)ナショナルガバメントは何か役割があるのか?」と聞いてしまいました。

発表者はポーランド人、現在豪州クイーンズ大学に在籍する女性、Emilka Skrzpek博士。 ポーランドは多くの命と引き換えに独立をえた。パプアニューギニアは違う。経済的自立を目指している。900もの言語、部族からなるパプアニューギニアとポーランドの状況は全く違うのです。もし豪州政府の管理下にあれば鉱山開発は少しはまともな運営がされていたのでは?とふと思ったり。。

 

Emilka Skrzpek博士が在籍する豪州のクイーンズランド大学にはSustainable Minerals Instituteという組織があります。鉱山開発の社会的問題はどちらかというとジャーナリスティックな分野だと思いますが、このように学問的に研究していることは日本も見習わなければと思いました。

https://smi.uq.edu.au/csrm

 

有名なキングスカレッジ。ミサの収録のためテレビ局が来ていた。

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