やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

サイパンを破綻させたのは日本の旅行会社

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 有本香さんが佐藤外務副大臣を招いて構成された虎ノ門ニュース。太平洋の問題を佐藤議員がしっかり把握されていて安心した件がサイパンの話だ。残念ながらこの地域、マネロン、麻薬、人身売買の巣窟となっている。そんなサイパンの状況を人に話しても無視されるだけであった。数年前朝日新聞がサイパンまで行って特集を組んでいたがこれも中共のスパイか、という内容だ。

 そんなサイパンの状況をしっかり教えて欲しいと言われたのが評論家の江崎道朗氏である。江崎さんは米国のインテリジェンスからサイパンの状況を聞いていたのだ。だから私が指摘したことを真剣に受け止めてくれた。

 さて、サイパンの概要をざっと書いておきたい。近々有本さんにお会いする機会があればさらにディープなお話をしようと思っている。

 サイパンが現在のように中国の手に落ちたのは90年代日本の旅行会社が企画したツアーの過当競争が原因である。2泊3日で19,800円というツアーがあったのを覚えているだろうか?これで日本資本のホテルが潰れた。

 観光がダメになったサイパンに中国資本の縫製工場ができた。Made in USA  でブランド品をどんどん米国本土に「輸出」できる。サイパンは労働賃金を米国より安く設定できるのだ。移民規制も緩い。工場で働くのは全て中国人。夜は売春。ここに米国のロビーストが入り込み米国議員も巻き込んだマネーロンダリングが行われた。この事件はカジノジャックという映画にまでなっている。

 続いてWTOの関税撤廃がサイパンを襲った。もうサイパンで洋服を作る必要がなくなった。工場は撤退。サイパン政府は破綻状態。年金も破綻。そこに出て来たのがカジノ。サイパン政府は年金対策のためにカジノ法を通過させた。カジノ会社はマカオ、香港などの中国の会社。カジノリゾートが完成する前に毎月何千億円もの賭けが行われていた。マネロンである。同時に中国が資金を出す環境NGOも基地反対で動いているし、日本軍が殺したというアメリア・イアハートの話、すなわち反日と日米を切り離す工作も限りなく蒸し返される。

 もう一つ書いておくと、今沖縄で独立運動を主導している松島さんは在サイパンの日本領事館に調査員として勤務していた。