やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ジャパンライフが食物にする「親日国家」パラオ

中曽根康弘元首相は「善意の政治資金として」と発言

 最大の大物は、先日101歳で亡くなった中曽根康弘元首相だろう。首相在任中、中曽根氏の5つの政治団体に、ジャパンライフから計1000万円の献金が行われていたことを、共産党の藤田スミ衆議員が追及している。中曽根氏は「善意の政治資金として受け付けたということでございまして……」と答弁している。  しかし、1985年11月の国会で、社会党の横江金夫衆議員が中曽根氏をさらに追い詰めた。内部告発状をもとに「(ジャパンライフは)この商売を守っていくために中曽根総理に対して、パラオ島にあるこの会社が持っている20万坪の土地を贈呈をしたということが書いてあるのです」と指摘したのだ。(下記の記事より)

news.yahoo.co.jp

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 「昨年末、A社から勧誘されたのが、パラオ共和国のリゾート開発への投資。ずいぶん熱心に誘われたんですが、聞けば聞くほど怪しいんです」

 こう明かすのは、都内在住の投資家の男性だ。

 男性によると、知人に持ちかけられたのは、パラオで建設途中だというホテルへの投資。投資によってホテルの経営権の一部を実質的に買い取ることで、収益を還元する――というのが趣旨だったという。

「A社は、ホテルの経営権以外に、土砂の採掘権なども販売していました。ただ、聞かされた事業計画はずさんで、収益を得られる見込みは限りなく薄い。そもそも、詐欺の気配がぷんぷんしたので、即座に断りました」(同) (下記の記事より)

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ジャパンライフの逮捕劇。何気に読んだニュースに出て来たのはパラオという国名。正に私がこのブログで延々と伝えている楽園の島、パラオの闇の話であった。1980年代に殺人や大統領暗殺まで引き起こした豊田商事事件は健在で、悪行は継続されていたのだ。

悪行が継続している事は知っていたが、ジャパライフの件はしらなかった。そこで記事にある国会議事録、昭和60年(1985年)台の記録を調べてみた。

当時は国際問題との意識があったのだ。米国防長官が入ったパラオ。これから弾道ミサイル対応レーダーが設置される予定のパラオでの日本の酷態。国際問題である。少なくとも1985年には国会議員にそのような意識があった。

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今回の事件とは関係ないが安倍晋太郎国務大臣のパラオに関するコメントとして興味深い

215 安倍晋太郎

○国務大臣(安倍晋太郎君) パラオ諸島が独立をするということでございます。これはアメリカとの間で今その協議が進んでおるわけでございますし、パラオが独立する、主権を持つ国家としてこれから南太平洋諸島の一員になっていく上においては、まず第一にはやはりアメリカとの円満な協議が成立しなければ困難ではないか。我が国としては、やがて独立するであろうパラオとはこれまでの歴史的に非常に因縁の深い関係にあるわけですから、独立した以上は積極的に協力をしなければならぬ、こういうふうに思っておりますが、このパラオ自体がどういう国としての憲法を持つのか、あるいはまた国としての国家原則を持っていくかということについては、これはパラオ自身の問題でありまして、我が国がとやかく言う筋合いではないのじゃないかと、こういうふうに思っております。 
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238 藤田スミ
○藤田(ス)委員 あなた方は何か非常に本当のところと少しうそのところと取りまぜた答弁をされますが、しかし、にもかかわらず銀河計画の財務担当者は関連子会社のそういう財政状況をきちっと組織的に把握しておられるということをいみじくも明らかにされました。そこで、私は委員長にこれら四人の財務担当者を次の参考人のときにはぜひお呼びいただきたいということを申し添えて、次の質問に移ります。  この関連会社の金の流れの具体例について聞きたいわけです。  前回私は、公共施設地図航空株式会社の問題について取り上げてまいりました。ここも六十年の二月十五日に役員の大幅入れかえが行われ、監査役に先ほどの横山明弘氏、そして豊田航空の代表取締役菊地孝氏、同取締役羽柴美知夫氏が新役員に就任をし、新聞報道によりますと、昨年の十二月二十四日に十三億で銀河計画に買収されたとあります。しかし、私が調べましたところ、特に六十年の二月ごろから銀河計画から第一勧銀築地支店の口座を通じてどんどん銀河計画のお金が公共航空に振り込まれていったというふうに聞いております。一体幾らこの公共施設地図航空株式会社にあなた方は資金を回しておられたのか、この点が一点であります。  時間がありませんのでもう一点お聞きをしておきたいと思います。  もう一つは、ムサシノエンタープライズ社であります。社長は木村実、取締役は鈴木公毅、いずれも豊田商事グループの海外タイムスの取締役であり、この社の取締役には笹川良一氏の御子息笹川陽平氏の名前も連なっております。監査役は、ここも横山明弘氏であり、つまりあなた方の関連会社であります。同社の株主は日本不動産抵当証券株式会社が八千株、武蔵野三菱自動車販売株式会社が一万二千株、パラオ共和国アイライ州の持ち株が四千株と私は確かな情報筋から聞いております。八千株持つ日本不動産抵当証券株式会社は、銀河計画の山村忠司氏が取締役、ここにも監査役に横山氏が配置されております。明らかに豊田グループの関連企業であることは言うまでもありません。ムサシノエンタープライズ社は一体パラオ共和国で何をしようとしていたのか。そのことは副社長であるあなたが御存じないはずはありません。うわさによれば、リゾート開発でもう用地を買うているのだとか、発電所建設に金を出しているなどということを言われておりますが、その目的についてお聞かせをいただきたい。二点です。
 
239 山元博美
○山元参考人 一点目の質問条項がちょっと今わからないのですが……。
 
240 藤田スミ
○藤田(ス)委員 公共施設地図航空株式会社というのがあります。そこにどれだけの資金を回されたのかということを聞いているわけです。
 
241 山元博美
○山元参考人 一点目の質問ですが、公共施設地図航空の買収問題に関しましては、その当時の公共の社長である、名前をちょっと私今思い出せませんが……(藤田(ス)委員「渋谷逸雄さんでしょう」と呼ぶ)渋谷社長と我が方の永野会長との二者によってとり行われておりましたので、その詳しい内容及びどれだけの金が買収資金として流れたのか、私は今ここの段階で幾らですというお答えはちょっとできません。  それと、ムサシノエンタープライズに関しましても、木村社長と永野会長との二者によっての協議でされておったみたいですから、パラオの関係につきましても、どういうことをされたいかという意向は、レジャー産業、そういったリゾート開発をしたいということは聞いておりましたが、それ以上の詳しいことは私は永野会長からは聞いておりませんでした。
 
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第103回国会 衆議院 法務委員会 第2号 昭和60年11月27日
 
031 横山利秋
○横山委員 時間がなくなりましたが、もう一問だけちょっとお答え願いたいのですが、四十六ページのパラオの問題であります。  パラオ共和国アイライ州の租借の問題でございまして、この四十六ページを拝見しますと、一体パラオ共和国アイライ州政府に対して十六億を支払ったのか、その金額が計算上やや不明瞭でございますが、かなり膨大な金額が支払われておるわけですね五十九年間の租借・黙りというわけであります。これは、一体どういう方法がこの財団拡充のためにあり得るか、例えば賃借権を第三者に譲渡する、あるいは解約して返還を求める、国際的な問題でありますが、どういう方法があり得るとお考えでございましょうか。
 
032 兵藤俊一
○兵藤参考人 豊田商事はあらゆる部門に進出してきたわけでございますが、最後は海外事業部門にまで進出しておるわけでございます。それを担当いたしましたのがムサシノエンタープライズという会社でございます。こういう会社をつくりまして海外事業の担当をさせておったわけでございます。この会社がパラオ共和国アイライ州に租借地を持っておるわけでございます。期間九十九年、二百万坪ということでございます。このパラオの土地を借りるために三十七億円の賃貸契約を結んでおったわけでございます。そのうち、ただいま横山先生御指摘のように十六億余りを既に支払っておるということでございます。  結局、この土地の賃借権につきましては、既に豊田商事が倒産しておりますので豊田商事としては何のメリットもないわけでございますが、この賃借権あるいは支払った十六億円、これを何とかうまく換価できないかというのが弁護団として考えておることでございます。これは本質的には管財人に御努力いただくことでございますが、十六億円の支払い済みのお金を返していただき、かつこの賃借権についての清算をしていただけたらかなり財団に益するところが多いというふうに考えます。これは海外でございますので、外務省がどういうような把握をしてみえるのか、どういう方向で解決しようとするのか、私は非常に注目しておるところでございますので、ひとつこの点を外務省には確かめていただけたら大変ありがたいというふうに存じております。
 
113 横山利秋
○横山委員 最後にやはり慎重だとか、これから検討すると言っているんだけれども、今や駸々乎としてゴルフ場ができ、そして問題が続出して、しかも豊田がその頂点に達しておると私は痛感していますよ。ゴルフ場の経営者は、ゴルフ場をやる以上は財界なりいろいろな知名の人がやっておる、やっておるけれども、今やこれだけ出てきますと有象無象もみんなやっているんですよ。そこで会員権の乱発が行われておるんですよ。紙切れ一枚のゴルフ場の会員権が数千万円のものもあれば五十万円のものもある。そういう状況の中でこれ以上放置を許してはいけませんよ。これは至急この経験の中で生かしてゴルフ場法の制定について努力をしてもらいたい。  外務省にお尋ねいたします。  豊田グループはムサシノエンタープライズがパラオ共和国アイライ州政府より租借をして二百万坪があるそうです。午前中も議論になりましたけれども、この調査報告書によれば、多分これは十六億だろうと思うのですけれども、十六億金が出ているわけですね。参考人にお伺いいたしますと、国際的な問題でもあるし管財事務所もてんやわんやの努力をしておるのだけれども、何しろ太平洋の真ん中のパラオ共和国であるから、これは外務省の援助をいただきたい問題であるということを言っていました。外務省は、事前に御検討願っておきましたが、この問題を賃貸契約を解消して金を少しは返してもらうか、少しはじゃなくてたくさん返してもらえるか、あるいは第三者にこれを譲渡するか何らかのことを、パラオまで何回も行くわけにいかぬし、外務省としての協力の方法はどんなことが考えられるか、御意見を承りたい。
 
114 本田均
○本田説明員 外務省としましては、このような民事上の問題につきましてはまず当事者間で解決を図るのが最も望ましいと考えておりまして、まず破産管財人あるいはムサシノエンタープライズ社とパラオの州政府との間で当該租借地の賃借権を処分することにつきまして話し合いを行われる必要があると考えております。外務省としましては、そのような話し合いの推移も見た上でどのような協力ないしお手伝いが可能なのかどうかということにつきまして検討してまいりたいと思っております。

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第103回国会 衆議院 商工委員会 第6号 昭和60年11月29日

030 横江金夫

○横江委員 大新聞すべての新聞に出ておりますから、これはしかも閲覧されている、事実だというふうに理解してまいります。  この会社の内部告発の中に——今非常に瀬戸際の状態、どうなるか、再建できるのかどうかという、そういう会社であるわけでありまして、まさに関心が高いわけです。そこで、いろんな政治献金等、政治家の皆さんに出しているようでありますけれども、とりわけ訪問販売法の改正やいろいろなことで守ってもらわなくちゃいけないということも含めながら、ここに出ていることを申し上げますと、法改正を阻止をするとかいろいろな関係等で、この商売を守っていくために中曽根総理に対して、パラオ島にあるこの会社が持っている二十万坪の土地を贈呈をしたということが書いてあるのです。総理はパラオ島へお行きになったかどうか知りませんが、何か仄聞いたしますと、息子さんが行かれたとかどうとかという話もあるようでございますけれども、私は、こういう内部告発の中にこれが出てくるということ、パラオ島は外国でございますから、そんなことは外国のことでわかりません、こういうふうなお話なのかもしれませんけれども、ここらあたりについて、これはもう内部資料を私は渡しますけれども、どうか調査をしっかりしていただきたいと思うのです。  また私は、この企業が、先ほど申し上げましたように今大変な社会的な批判を受けておる会社でございますが、大臣といたしまして、このような内部告発のうわさが出てきておる、表のいいころかげんのうわさではなしに、内部告発として出てきているというこの事実、この記載されている事実等について、大臣お二人お見えになりますが、この問題のジャパンライフの企業の問題から含めて、ぜひ事態、事実の究明を図るべきだと私は思いますが、どうなんでしょう、大臣として。——大臣にお答えをいただきたいのです。僕は大臣の立場で伺っているのですよ。後で大臣答弁していただけますか。
 

031 松尾邦彦

○松尾政府委員 事務的にあらかじめ答弁させていただきますが、先ほど御指摘のありましたこの会社の商法等につきましては、会社の幹部等から累次にわたって事情は聴取しております。  御指摘の点につきましては、必ずしも私どもの権限に基づく調査事項というわけではございませんけれども、先生のお尋ねがありましたことにつきましては会社の幹部に確認をしてみたいと思います。その上で、また後刻機会があれば述べさせて、いただきたいと思います。

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○横江小委員 それでは、主管課の方からこの質問に基づいてその結果を私の方へ出していただきたい、このことをお願いしておきます。
 そこで私は、もう時間も若干しかございませんが、ジャパンライフがパラオ島へ大型ホテルを建設する準備を進めておる、これについてお伺いしたいと思います。
 パラオ群島の最北端にカヤンゲルという島があります。ジャパンライフはここで大型ホテル建設の準備を着々と進めているわけでありますが、この島は原住民が五十人か六十人ぐらいしか住んでおりませんし、酒が飲めない禁酒の島であるわけであります。現地の政府は、特産のサンゴ環礁の島だということで当然観光開発は無謀だという言い方をしておるわけでございますが、ジャパンライフはいろいろな意味で、手をかえ品をかえてこのホテル建設の許可を受けようということで、先ほども政治家云々という話がございましたが、強力な政治家をも使いながら働きかけを実はしているわけであります。もちろん業者も、契約をこのジャパンライフと終わり決まっているわけでありますが、当然許可がおり次第着工するということになっているわけであります。
 このパラオと聞きますと、豊田商事の発電所の計画だとか、いつも何か日本で問題の起こるような会社がパラオヘ進出をするというようなことでございまして、非常に私は異常な感じを実は受けておるわけであります。
 このままこのジャパンライフのホテルが、そのような本当に全く五十人か六十人しかいないような、そんな島へ進出をするというようなことに相なってまいりますと、これは大きな国際問題になってくるんじゃないかというふうに私は考えるわけでありますが、この関係等については、主務官庁はどのようなお考え方をなさってみえるのか。
 そしてもう一つは、十一月の二十九日に私質問をいたしましたこのパラオ島の関係につきましては、中曽根総理自身が二十万坪ジャパンライフから土地を贈られておるといううわさを内部告発資料で実は私は指摘をいたしたわけでございますが、もう十日以上もたっているわけでございますので、この調査結果につきましてもぜひ答弁をしていただきたい、かように考えるわけでございます。
 
131 松尾邦彦
○松尾政府委員 私ども、ジャパンライフがパラオ島におきまして何か投資事業を行っているということは仄聞しておりましたけれども、具体的にどういう事業内容になっているかということについては、従来詳細に聞いて把握していることはございませんので、この点につきましては会社から実情を一度聞いてみたいと思っております。
 それから、先般の商工委員会で先生から、中曽根総理に二十万坪の土地を贈呈したのではないかといううわさがあるということにつきましては、早速会社の社長にその旨尋ねましたところ、そういう事実はないと理解しておるという御返事がございましたので、御報告さしていただきます。