やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオ大陸棚と私 - 鶏鍋からハイポリティクスへ

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日本政府(外務省)主催、第4回海洋法に関する国際シンポジウムに参加したパラオ政府代表団

 パラオ大陸棚の件が日本にとって重要であることを、沖ノ鳥島の件や第二列島線の件も含め、この4、5月に声をかけていただいた議連の講演会で説明した。勿論、事前に坂元茂樹教授のご意見もお伺いした。

現在パラオ政府は大陸棚申請の修正案を検討中である。しかも日本財団の支援をこの3年近く受けて。* このアレンジをしたのが私なのである。パラオ大陸棚にも深く関わる事となってしまった。

 

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数年前、長年閣僚を務めたパラオの友人がリタイヤされた。

悠々自適の老後を開始。ご夫婦で日本にいらした時は家で当方の主人と共に鶏鍋をつつくような関係である。その方が、レメンゲサウ大統領から大陸棚envoy(この肩書きの和訳はなんだろう?)に指名された。こちらも海洋事業を担当していたので、情報交換が開始。鶏鍋からハイポリティクスを話すビジネスの関係に戻ってしまった。

 

ある日、その方からメールが。

「大陸棚申請をする作業にフォーラム漁業局から出ていた資金支援が終了する。財団の支援を受ける可能性はないだろうか?」

当時、私はパラオの大陸棚が日本と繋がっていて重要である位の知識しかなかったので

「もう既にミクロネシア海上保安事業で数十億円の支援が決まっているし、さらに大陸棚というのは難しいかも。しかし日本にとっても重要であるはずだから、そのまま羽生会長に転送できるよう形で、要請を完結にまとめて欲しい。」と返事。

数週間後にメールが来て、笹川平和財団の羽生前会長と日本財団の海野常務にそのまま転送。しばらくしてもなんの返事もない。「余計なことを」と無視されたと思っていた。

 

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 数ヶ月後パラオの知人から

「リエコの影響力はすごいな。ありがとう。」と連絡があった。

「なんのこと?」

「知らないのか?日本財団が支援してくれてるんだよ。」

羽生さんも海野さんも一言教えてくれてもいいのに。ケチな性格だ。

まあ、結果オーライだ。

 

現時点でパラオの大陸棚申請は大詰め。

鶏鍋からハイポリティクスの関係に戻ったパラオの知人と今日、国連大学で開催された外務省の大陸棚に関する会議でお会いした。

 

「リエコ、あの“パラオ・日本友好協定”を進めたい。」

「ハイ、ハイ。日本財団は限界がある。民間ですからね。政府がやると、なんでパラオだけ?となる。協定があればパラオを特別待遇できる。それに大陸棚の開発管理に日本の支援は必要ですよね。ナカムラ元大統領も“パラオ・日本友好協定” イイネと言ってましたよ。」

 

もしパラオ政府から打診があって日本政府がNoと言ったら徹底的に戦おう。

 

 

 

日本財団から水路協会に助成金額: ¥124,630,000が出ている。

http://nippon.zaidan.info/jigyo/2015/0000087156/jigyo_info.html

 

水路協会 平成29年度 事業計画 より

https://www.jha.or.jp/jp/jha/outline/pdf/jigyo.pdf

1 航海の安全・海洋環境の保全等に関する調査研究

(日本財団助成事業)

(1) 水路分野の国際的動向に関する調査研究(継続) 国際水路機関(IHO)、東アジア水路委員会 (EAHC)、ユネスコ政府間海洋学委員会

(IOC)など水路分野に係わる国際会議に当協会職員を委員または委員代理として派遣 し、電子海図の新基準の検討状況など水路分野の国際的な情報を収集するとともに、海 底地形名称の登録など我が国の海洋権益の確保に寄与する。

(2)パラオの EEZ・大陸棚管理に係る技術力向上支援プログラム事業(3年計画最終年度) パラオ共和国では、広大な EEZ・大陸棚を有するにもかかわらず、適切に管理するた

めの測量、GIS を含む水路技術や地質学的知見は十分ではなく、専門家も不足し、また、 ハードウェア・ソフトウェア等インフラも不足している状況にある。

このため本事業では、パラオが自国の EEZ・大陸棚を管理するために、日本から技術・ 知見の伝達による人材の育成、技術インフラの整備等を行い、パラオにおける水路技術 や地質学分野の技術能力の向上を図るとともに、この分野での同国との協力関係を強固 なものとする。

 

 

平成28年度 事業報告

https://www.jha.or.jp/jp/jha/outline/pdf/jigyo_h.pdf

1 航海の安全・海洋環境の保全等に関する調査研究

(日本財団助成事業)

(1)水路分野の国際的動向に関する調査研究(継続)

国際水路機関(IHO)、東アジア水路委員会(EAHC)、ユネスコ政府間海洋学委員会 (IOC)など水路分野に係わる国際会議に委員または委員代理を派遣し、電子海図の新 基準の検討状況など水路分野の国際的な情報を収集するとともに、海底地形名称の登録 など我が国の海洋権益の確保に寄与する。

平成 28 年度は「世界航行警報小委員会」等 11 の委員会に出席し、水路分野の国際的 な動向について情報収集を行った。

(2)衛星画像を用いた浅海水深情報の把握の調査研究(3年計画 最終年度) 本研究は、衛星画像を利用して、沿岸域等の浅海水深の把握がどの程度の精度で把握 できるかを検証するものである。このため、既に行った国内外での衛星画像による水深 取得に関する研究の現状把握及び海外での衛星画像データの海図等への採用等につい ての調査結果をもとに開発した解析手法を最適化するとともに、新技術の応用に向けた情報発信を行う。

平成 28 年度は、3ヶ年の研究成果を取り纏めた報告書及び実用化に向けた解析プロ

グラムの作成を行い、新たな技術として公開した。

(3)パラオのEEZ・大陸棚管理に係る技術力向上支援プログラム事業(3年計画 2年目) パラオ共和国では、広大な EEZ・大陸棚を有するにもかかわらず、適切に管理するた

めの測量、GIS を含む水路技術や地質学的知見は十分ではなく、専門家も不足し、また、 ハードウェア・ソフトウェア等インフラも不足している状況にある。このため本事業では、 パラオが自国の EEZ・大陸棚を管理するために、日本からの技術・知見の伝達による人材 の育成、技術インフラの整備等を行い、パラオにおけるこの分野での技術能力の向上を図 るとともに、同国との協力関係を強固なものとする。

平成 28 年度は、両国の専門家らによるワークショップを4回開催し、国内委員会を 4回開催した。