やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ソロモンタイヨーがソロモン諸島の水産資源を枯渇させた?

ソロモン諸島の水産業を発展させたソロモンタイヨーの歴史が、何の検証もされずに嘘がばらまかれている。何かの事実を確認するという作業は、多角的な情報を集め、検証していく作業なのである。

私が参照した英文の資料は今すぐ出てない。しかし少なくともソロモンタイヨー が漁業資源を枯渇させたとか、現地で宗教の問題を起こしたとか、今まで一度も聞いたことがない。

水産関係者というのは現場の漁師さんから、水産庁の役人、海洋保護イデオロギーの活動家から科学的視点をもった研究者、自決権の意味も検証せずの弱者支援を気取る法学者、等々多彩である。

まずは文献を確認する必要がある。ウェブ検索で少し拾ってみた。

 

(総督)1972 年に日本の大洋漁業との合弁企業ソロモンタイヨー社が設立されたが、同社の役員として何回か日本を訪れた。年に3回開催される役員会議のうち、1回は必ず 日本で開催する規則になっていたためである、その後、大洋漁業は事業から撤退した ので、現在はソロモンのソルツナ社が事業を引き継いでいる。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/kokusai_kankei/oda_chousa/h29/pdf/2-3.pdf

 

もう一つ重要なのは、ソロモン経済を支えていたといっても過言ではないソロモンタイヨー(大洋漁業・現マルハの現地法人でカツオ漁業を行っていた)が撤退したことである。入漁料などで赤字がかさんだことや、海賊に漁船が襲われるなどしたことが原因だが、結局政府が別会社を作って事業は引き継ぐことになった。しかし、世界的な情報網とノウハウを持つマルハが手を引いた事業を、果たして独自に展開できるのか疑問である。

http://shinrin-journalist.la.coocan.jp/sub4-21.html

 

ソロモン諸島の主要産業は農林水産業で、GDP の 3~4 割を占める。主な輸出品と しては木材、パーム油、カツオ・マグロ類、コプラ等がある。かつては日本の大洋漁業 (現マルハ株式会社)とソロモン諸島政府の合弁企業、ソロモン・タイヨウがマグロの加工品や缶詰を日本やその他の市場に輸出していたが、1998 年の社会紛争により、 2000 年、大洋漁業は撤退した。現在は、缶詰工場はソロモン政府が所有する Soltai Fishing and Processing Limited が操業し、米国資本の TriMarine 社のソロモン 子会社 National Fisheries Developments(NFD)社がソロモン諸島領海で漁をし て、原料となる水産物を供給している。

https://www.jstra.jp/html/PDF/research2017_07_02.pdf