「ソーラーHFラジオが離島の人命を守る」 笹川太平洋島嶼国基金は1997―2005年の9年間、グアム大学に対して56,383,661円の助成を行った。事業内容は、ミクロネシア地域全体を対象とした遠隔教育の政策・制度改革である。 この事業の波及的成果として、60近い離島に短波ラジオ施設が設置され、これが多くの島民の福祉・教育のみならず、人命を救う結果となっている。 事業担当者のブルース・ベスト氏に確認しながらSARの連絡網のダイアグラムを作成してみた。
まず、離島で事故が起こると、若しくは事故が起きたことが分かるとHFラジオでグアムのベスト氏の所に一報が入る。ベスト氏がこれをUSCGに連絡する。USCGは他国への支援を自ら決められないので、まずは当該国に連絡をして正式な支援要請を出す事を促す。(ここで時間がかかる。FSMの場合は州知事から連邦政府への支援要請が先。それから連邦政府が米国に支援を出すまでの間に、多くの人命が海で失われるそうである。) そして、USCGによるSARが開始されるのである。 この間、現場の状況は逐次ベスト氏、USCGが連絡を取り合っている。 このダイアグラムは一例にしか過ぎないが、今まで通信手段がなかった離島にHFラジオは大きな変化をもたらした。技術の進歩でHFラジオでもemailや静止画像が送信できるようになった。自然災害が未然に防げる可能性も大きく、NOAA、FEMAの期待も大きい。 離島に衛星通信サービスの可能性もあり、既に使用されているケースもあるが、ソーラーHFラジオは何よりも通信費が無料である。人口数十人、数百人の離島の基礎的なコミュニケーション手段としてHFラジオの役割は今後とも重要である。 これらの離島と毎日12時間週7日、連絡を取り合っているのはベスト氏である。誰に頼まれたわけでもない。ボランティアだ。 参考資料: RANET Pacific Sites as of 2007
(文責:早川理恵子)